造作の無償譲渡で賃借人と大家のそれぞれの課税関係を解説 (1/2ページ)
賃貸した物件の内装工事など、いわゆる造作は、その支出をした賃借人である法人の固定資産になります。資産になるということは、価値があるということですので、それを手放すときには、時価で譲渡しなければならない、というのが税務上の大原則です。これが問題になるのは、物件を退去する時です。
物件を退去する際、賃借人は原則スケルトンで返すことになります。スケルトンで返す場合には、造作を取り壊すのでその造作の帳簿価額を除却損として計上します。一方で、現在は造作を取り壊さない居抜き譲渡も増えています。居抜き譲渡で造作部分を買い取ってもらえればいいですが、無償で大家に譲り渡すことも多くあり、その場合の先の大原則が問題になります。
■無償譲渡した賃借人の課税関係
退去の際無償で譲り渡した造作についても同様ですが、資産を無償で譲渡した場合、その資産の時価で資産を譲渡し、その譲渡した金額を寄附したとされる場合があります。この場合、寄附金は原則経費になりませんので、その部分が課税対象になります。
ただし、例外として、造作を放棄する合理的な理由があれば、寄附金課税がなく、課税されないとされています。寄附金は見返りを求めない単純贈与ですから、何らかのメリットが寄附者にあれば、原則寄附金にならないとされるからです。
一例として、賃貸人から賃貸借契約の解除を申し入れたり、造作を取り壊すより造作を放棄した方が、コストが低かったりするような場合が挙げられます。このようなケースは、造作を取り壊さず放棄する合理的な理由があるため、敢えて課税しないとされる場合もあります。
■無償で譲り受けた大家の課税関係
一方で、無償で資産を譲り受けた場合、その譲り受けた資産の時価で、受贈益を計上する必要があるとされています。このため、造作の時価が問題になる訳ですが、建前としては造作を現時点で取得するとすればいくらかかるか、という観点(再調達価額)や、取得した造作を今売るとしたらいくらで売れるか(売却可能価額)などで評価することとされています。
しかし、このような金額を算定することは非常に困難です。