なぜ何も言わずに聞いてくれる人は、人材を育てるのが上手いのか? (2/4ページ)

新刊JP

――黙ってみる。なるほど。どうしても「聞く」というと「質問する」というイメージが強いです。

八木:そうですね。沈黙ってラジオ番組で何秒か続くと放送事故だと言われるように、あまり良いイメージがないかもしれないですけど、普段の会話の中で沈黙を共有できる関係って、実は結構良い関係のはずなんですよ。だから、まずは沈黙をしてもいい相手からじっくり話を聞いてみる。

これはちょっと脱線になるかもしれませんが、ビジネスの場でもまずは黙って話を聞いて理解をするというケースが広がってきています。例えばAmazonの社内会議は、プレゼンをするときにパワーポイントを使うのを禁止しているそうです。

パワポが使えないということは、プレゼンでビジュアルを使って説明をできないってことですよね。これまでは、どんなに中身のない提案でも創意工夫をもってパワポの資料を作れば、プレゼンの形にはなった。でも、ビジネスにとって重要なのはプレゼンの上手さ、下手さではなく、その中身ですよね。

――確かにプレゼンがどうであれ、中身は同じです。

八木:だから、あえてプレゼンをさせないで、ワードでドキュメントだけの資料を作らせる。その上でミーティングはその文章を読む、沈黙の時間から始まるんです。その上で、お互い中身を理解したところから議論が始まるわけですが、要するにこれは「聞く」という事から始めているのと同じなんですよ。

――相手の話を「聞く」とは、相手の言いたいことを理解するということであると。

八木:そうです。詳細に理解する。パワポだと細かい部分を飛ばして理解してしまいがちですが、文章って誤魔化しがききにくいですよね。分かりにくい部分も見つかりやすい。だから、しっかりと「聞く」っていうことは、意思決定の質を高める、物事のクオリティを見極めるという意味では大事なことなのだと思います。

――そのお話を聞くと、本書の第1章で「共感力はいらない」と書かれていましたが、それも理解できます。「聞く」ことの目的が意思決定のためであるとするなら、共感力は必要ないですね。

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