なぜ何も言わずに聞いてくれる人は、人材を育てるのが上手いのか? (3/4ページ)

新刊JP

八木:そうですね。共感することで仲良くなれるかもしれないけれど、実はそれが「分かったつもり」にさせている可能性があるんです。実際に、リアルで会ったときと、メールなどでやりとした場合のコミュニケーションを比較した研究があるのですが、会って話したほうが中身は伝わると思っている人は多いと思います。

でも、違うんです。リアルで会った方が分かった気になっていて、インターネットのコミュニケーションの方が、理解度が高かったんです。

――それは意外です…!

八木:相手の言っていることを一方的にしっかり受け止めたほうが、理解度は高まる。共感はむしろ理解の邪魔になっていて、理解した気になっちゃうんですよね。それは物事をちゃんと理解する上での一つの罠なんです。

――ただ、相手の話に対して、話し終わるまで沈黙を貫くってすごく難しいと思うんですね。分からないことがあったら聞きたいじゃないですか。そんな不安な状態に耐えられるかなと。

八木:それがこの本で言っている「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念ですね。分からない状態に耐える力です。

これはカウンセリングなどの分野で人の悩みを解決する手段として注目された手法なのですが、カウンセリングって、スラスラ話をする人にはあまり効果はなくて、頭の中がこんがらがった状態でたどたどしく話す人の方が、効果があるんです。

そのとき、カウンセラーは分からない状態でいなくてはいけない。でもそれに耐えることによって、相手の中で未解決になっているものをもっと話してもらいやすくなるんです。普通、頭の中でまとまっていないわけのわからない話をしたら、怒られるじゃないですか。

――「何が言いたいの?」と言われますよね。

八木:そうそう。それで空気が凍りつくみたいな。でも、それでは相手の奥底にある本音を引き出すことはできません。話を聞く側が分からないことに耐えることで、すごく優しい世界になるし、心が安定するんですよね。

――分かります。

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