江戸時代の天才発明家「からくり儀右衛門」の傑作・弓曳童子はなぜ矢を一本外すのか? (3/3ページ)

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(※1/4のランダムでわざと射方を変える仕組みにはなっていないようです)

細かなパーツなので簡単に作れるだろうにと思いきや、小さいからこそ微妙な加減が必要なようで、矢羽根の一枚々々にいたるまで精巧に作れたのは、やはり「からくり儀右衛門」ならではという事でしょう。

自分で矢をつがえる(セットする)仕草もリアル。Wikipediaより(撮影:稲益 誠之 氏)。

しかし、一本だけ外れるようになったことで、弓曳童子にユーモラスさが加わり、その魅力をかえって高めているようにも思われます。

歴史や文化はただ厳密に記録・継承するばかりではなく、受け継ぐ人の個性が少しづつ加わっていくことによって、より活き活きと血を通わせていくものであることを、弓曳童子は教えてくれているようです。

※参考:
立川昭二『甦えるからくり』NTT出版、1994年1月
河合敦『誰も知らない江戸の奇才』三栄書房、2019年11月
村上和夫『完訳からくり図彙』並木書房、2014年10月

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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