西野七瀬と斉藤優里それぞれの個人PVで「SF」と「日常」が同居する荒船作品【乃木坂46「個人PVという実験場」第14回3/4】 (3/3ページ)

日刊大衆

それが、西野七瀬主演「ばけねこのななせ」である。

https://www.youtube.com/watch?v=9ADxhVApz-0
(※西野七瀬個人PV「ばけねこのななせ」フルバージョン)

 生まれつき猫耳が生えている高校生・西野は、映画部の部長から自主映画に「化け猫」役で出演してほしいと懇願される。自身の属性ゆえのトラウマからその申し出を拒絶する西野だが、唯一の友達である野良猫に背中を押され映画出演を了承、それは彼女が仲間を得るための第一歩でもあった――。

「斉ボーグ優里」が心象風景としてのSFという解釈を示していたのと同様に、「ばけねこのななせ」でも、まさに想像力の具現化として荒船特有のVFX技術は活かされている。

 西野が出演する自主映画は、高校生が作った非常に質素な道具立てのものである。しかし、画面のアスペクト比が変わり、劇中劇として映し出されるその自主映画のカットにおいてのみ、ダンボール製だった敵は強靭なボディを持ち、周囲は炎に包まれる。

 もちろん、素朴な存在として描かれる高校生たちに、そうした大掛かりな技術も予算もあるわけはなく、劇中劇のリッチな画面は、あくまで主観あるいは願望の投影である。

 あらかじめすべては空想の産物に過ぎないことが示されてはいるが、いかに拙い高校生の習作であろうとも、作り手たちの主観や妄想がどれほどに無垢で気恥ずかしい楽しさに満ちているか。その初期衝動こそをテーマにした青春ドラマとして、「ばけねこのななせ」はある。

 もっとも、このドラマでそもそも一番SF的な、「生まれつき猫耳が生えている」「猫と会話ができる」という西野の設定は、登場人物たちにあらためて問われることもなく、どこまでもごく日常的な風景のうちに溶け込まされている。このバランスもやはり、荒船作品的といえよう。

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