目上の人に「言い得て妙」を使うのがNGな理由

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目上の人に「言い得て妙」を使うのがNGな理由
目上の人に「言い得て妙」を使うのがNGな理由

「言い得て妙」とは、「うまく言い表せていて素晴らしい」という意味の慣用句です。

世の中には、物事を実にうまく言葉で表現できる人がいますよね。簡単にまねのできないくらい的確に言い当てる人を見ると、つい出てくるのが「言い得て妙」です。

褒め言葉なので言われたらうれしいはずですが、果たして目上の人にも使えるものでしょうか? 今回は「言い得て妙」の意味や使い方、例文などを解説します。

■「言い得て妙」の意味とは?

「言い得て妙」とは、「言う」「得る」「て」「妙」をつないでできた慣用句で、辞書を引くと次のような説明があります。

言い得て妙 実にうまく言い当てているさま。 (『広辞苑 第七版』岩波書店)

この場合の「言う」は「心に思うことを言葉に出す。言葉で表現する」という意味で、「得る」は動詞の連用形に付いて「~できる」という意味です。「て」は「原因・結果」へとつなぐ接続助詞です。

つまり、「言い得る」とは、「言うことができている」から転じて「うまく言い当てている。上手に表現できている」という意味です。

では、「妙」はどうでしょう。

みょう【妙】 (1)いうにいわれぬほど、すぐれていること。はなはだ巧みなこと。美しいこと。 (2)不思議なこと。普通でないこと。 (3)少女。 (4)(近世の流行語)すばらしいさま。すてきなさま。 (『広辞苑 第七版』岩波書店)

「言い得て妙」の「妙」は、(1)の「いうにいわれぬほど、すぐれていること」という意味です。

つまり、「変、奇妙」の「妙」ではなく、「妙味」「絶妙」「妙案」と使う時の「妙」です。

「言い得て」の後に「妙」を続けた「言い得て妙」は、「上手に表現できていて、言うに言われぬほど、優れている」という意味だと捉えられます。

もっと分かりやすく言えば、「言い得て妙」とは、相手や第三者が言った言葉に対して使うもので、「実にうまく言い当てていて、まねのできないほど素晴らしい」という意味です。

■目上の人に「言い得て妙」と言うのは避けた方が良い

上記で述べたように、「言い得て妙」は紛れもなく、褒め言葉です。

もしあなたがあることを的確に表現できた時に「言い得て妙だね」と上司や目上の人から褒められたら、きっとうれしいことでしょう。

同様の場面で、立場が逆だったらどうでしょうか?

結論から言えば、目上の人や上司に対して「言い得て妙ですね」を使うことは避けた方が賢明です。

人は褒められたらうれしいものですが、一方で部下から褒められて有頂天に喜ぶ上司は少ないもの。

なぜなら、目上の人や上司は、部下よりもキャリアや経験が豊富な場合がほとんどなので、ある意味「できて当然、優れていて当たり前」というスタンスでいるからです。

つまり、目下の人や部下からの褒めは、予想外で戸惑いを感じる人も少なくないわけです。

もちろん、上司と部下との関係性にもよりますが、一般的には違う言い方を工夫した方がいいでしょう。

例えば「おっしゃる通りですね! その発想があるとは気付きませんでした」と、相手を立ててたたえるのも方法です。

■「言い得て妙」はどんな時に使えるのか?(例文付き)

ここまで読んで分かるように、「言い得て妙」は誰かと話している時に、相手の言葉が実にうまい表現である時に、それを褒める慣用句です。

同じような場面で「なるほど、その通りですね」と共感を示すこともあります。

ただし、「言い得て妙」は、その共感にさらに「感服している」「まねができないほどだ」という気持ちをプラスしたもの。

「言い得て妙だね」と言われると、「うまいことをいうね」と言われるよりも独特の奥深さが感じられ、言われた相手も、まんざらではないでしょう。

実際には、次のような場面で使うことができます。

◇相手の言うことに、心から感心した時

景色や状況をうまく説明できるのは、その人の経験やセンスによるもの。相手の話に感心した時は、その気持ちを「言い得て妙」で表現しましょう。

「まさに」「実に」「確かに」「なるほど」などを加えて強調することもできます。

☆例文

・あなたが今度の新人を小さな台風と呼んだのは、言い得て妙ですね。確かに元気いっぱいで、その分ハラハラする場面もありますが。

◇既知の表現や第三者の表現を取り上げて他人に伝える時

「言い得て妙」は相手の言葉に対して褒めるだけでなく、過去の人や第三者が言った何らかの言葉や表現を強調して相手に伝えたい時にも使えます。

☆例文

・「牡蠣は海のミルク」とよく言われますが、まさに言い得て妙ですね。栄養素が豊富らしいですよ。

◇誰かが褒めていたことを本人に伝える時

その場にいなかった自分を誰かが褒めていたと後から聞くと、面と向かって褒められるよりもうれしいですね。

もし、あなたが他の誰かに「褒められてたよ」と教えてあげる際には、次のように表現してはどうでしょう。

☆例文

・部長があなたの企画書を見て、表紙のキャッチフレーズに感心していましたよ。言い得て妙だ、とでも言いたいような表情でした。

■「言い得て妙」の言い換え表現

相手や第三者の言ったことに対して褒める時に使う「言い得て妙」。

ここでは、そんな「言い得て妙」と似たような意味やニュアンスを持つ言葉を以下に掲げます。

◇「奥深い表現」

「言い得て妙」の「妙」が持つ“優れたおもむき”という意味の「妙味」を、別の言い方で表現したい場合に使える言葉です。

後ろに「感服いたしました」など付けると、目上の人にも使えます。

☆例文

・実に奥深い表現ですね。感服いたしました。

◇「絶妙な言い回し」

「言い回し」とは「言い表し方。表現」という意味です。

☆例文

・なるほど、それは絶妙な言い回しですね。

◇「含蓄がありますね」

「含蓄(がんちく)」とは、含み蓄えるという意味です。豊富な経験や知識に感心した場合に使います。

目上の人に使っても、気分を損ねることは少ないでしょう。

☆例文

・社長のお言葉には、含蓄がありますね。人生の機微を感じます。

◇「的を射る」

「言い得て妙」のような奥深さはありませんが、「的確に言い当てている」と言いたい時に使います。

☆例文

・彼の言うことは、いつも的を射る。理に適っているね。

■「慣用句+自分なりの褒め」でコミュニケーションをバージョンアップ

「言い得て妙」という言葉について解説しました。いかがでしたか?

こうした分かりやすい慣用句は、双方が意味をきちんと理解していれば言いたいことが伝わりやすいので、とても便利です。

相手を褒めることで、その後のコミュニケーションがさらにスムーズになることも期待できます。

「言い得て妙」の後に、「それ、今度まねしてもいいですか?」「言葉のセンスがいつも抜群ですね」など、自分なりの言葉を付け加えて“褒め表現”をバージョンアップさせるのもいいですね。

(前田めぐる)

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