「自分中心の暮らし」が一変 猫は飼い主を育てるのか (1/2ページ)
動物には、私たちの心を癒す不思議な力がある。でも、それだけではないのかも。
アメリカでバンド活動を行い、その後、ドイツ、スウェーデン、イギリスで音楽活動を続けながら、仙台市の翻訳事務所で専属の通訳、通訳家として活動しているM.IWASA氏は、子どもの頃からペットと触れ合うこともなく、大人になってからも音楽活動に集中する生活をしていたという。そんなM.IWASA氏だが、ある猫と出会ったことで、人生観や運命までもが変わっていくことになった。
■東日本大震災のショックを和らげてくれたネコ『猫が飼い主を育てる甘い生活 最愛なるハリーに敬意を表して』(M.IWASA著、文芸社刊)では、M.IWASA氏と猫のハリーと生活した軌跡を紹介する。
2011年、当時、M.IWASA氏はドイツのベルリンでセッションミュージシャンとして、レコーディングスタジオで活動していた。M.IWASA氏は彼女のマリンの家を訪れ、彼女の飼い猫のマリンと初めて出会う。
2011年といえば、日本では東日本大震災が起こった年である。震源地は東北、宮城県沖。M.IWASA氏は、両親や親戚が住んでいる仙台市や宮城県に津波が押し寄せる映像をテレビやインターネットを通じて目にした。そして、痛ましいことに、親族の一人が犠牲になってしまう。
津波の被害、家族の苦痛を知り、M.IWASA氏は大きな悲しみにくれていた。そのとき、ハリーがM.IWASA氏の膝の上に乗ったという。励まそうとしてくれたのかはわからない。しかし、M.IWASA氏は、このときの温かい感覚、猫の包容力、気持ちの落ち着く感じを今でも鮮明に憶えているという。
M.IWASA氏がハリーと出会う前までは、自分中心の生活、自分のことだけを考える生活を送っていた。ハリーと出会ったことで、初めて自分より優先して考える存在が出来たのだという。
「ハリーは何を食べたいかな」「ハリーは快適に感じているだろうか?」と、自分の感情より先にハリーの感情を考えるようになった。