食肉用ニワトリの捕獲に警備員…流転の人生を歩む男が「悩んでいる時間は無駄」と語るワケ (2/3ページ)
――作中に、小説家の名前や小説の名前がたびたび登場します。オーサキさんがこれまでに愛読した本や影響を受けた作家について教えていただきたいです。
オーサキ:一番好きなのは船戸与一さんです。ハードボイルド作家だと思われがちですが、詩的な文章も書けるし、叙事詩のようなものも書ける。幅の広さがすごいなと。
あとは、伊坂幸太郎さんとか谷川俊太郎さん、石川淳さんとか坂口安吾さんからも影響を受けたと思います。小説家ではないですが中島みゆきさんと荒木飛呂彦さんも大好きです。あまり自意識が過剰すぎず、人の心情を推しはかるようなものを書く方、文章にあるリズムや音色を大事にしながら物語を書ける人が好きなんだと思います。
――芥川賞があまりお好きでないとお聞きしました。
オーサキ:というよりも、いたずらに文章が難解だったり、ジャンルに凝り固まったものが好きではないんです。何年か前にボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞しましたが、ああいうオープンさが芥川賞にもほしいと、一読者として思います。
――次の作品も書かれているそうですね。今後の活動についてお話をお聞きしたいです。
オーサキ:書きたいことはいくらでも湧いてくるので、どんどん書いています。世の中には、たとえば会社の社長が「自分は偉くなったから、ここらで自伝でも書いて社員に配ろう」というような本が溢れていますが、私はどんな時でも、肉体労働者として、身体を動かした働く日々の中から出てくる言葉を語りたいです。そして、どんな時でも弱者の立場に立って、言葉を紡ぎ出していきたいと思っています。
そして、この活動でいくらかのお金を得ることができたのなら、社会貢献に使っていきたいと思っています。それが表現活動をする人間の義務だと思っているので。
――現在は探偵をされているというオーサキさんですが、この仕事を始めてみての感想をお聞きしたいです。
オーサキ:探偵業法ってすごくグレーなんだなというのが感想です。