戦国時代、殺された恋人の仇討ちをした悲劇の烈女・勝子の最期【前編】 (2/4ページ)
「二人とも、末永く仲睦まじく、織田家の柱石となってくれよ」
「「ははぁ」」
聞くところによれば、家中随一の美男美女だったそうで、ますます織田家の将来は安泰……となればよかったのですが、こういうトントン拍子の時には、たいてい邪魔が入るものです。
「八弥のヤツめ……勘十郎(信勝)様のご寵愛をいいことに、我ら譜代をないがしろにしおって……っ!」
妬んでいたのは佐久間七郎左衛門信辰(さくま しちろうざゑもん のぶとき)。織田家の筆頭家老・佐久間右衛門尉信盛(うゑもんのじょう のぶもり)の弟で、家中に権勢を誇っていました。
ポッと出の新参者にお株を奪われて面白くないのは、いつの世も同じこと……まして才覚もあってこれから美女を娶るとあれば、妬んでしまうのも解らなくはありません。
……が、内心で思うだけなら仕方ないとしても、七郎左衛門は八弥を暗殺してしまったのです。
逃げた七郎左衛門を追って……。「……八弥様!」
最愛の許婚を喪った勝子は悲嘆にくれましたが、ここで泣き寝入りしてしまっては、武家の妻として面目が立ちません。
「下手人は七郎左衛門殿に違いありませぬっ!」
周囲の証言などからそう突き止めた勝子は、主君・信勝を通じて佐久間家に抗議の使者を発しましたが、信盛はとりあってくれません。