世界最大種のシロナガスクジラ、お尻の穴はどれくらい大きいのだろう?

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世界最大種のシロナガスクジラ、お尻の穴はどれくらい大きいのだろう?
世界最大種のシロナガスクジラ、お尻の穴はどれくらい大きいのだろう?

巨大なシロナガスクジラのお尻の穴のサイズはどれくらい?iStock

 シロナガスクジラは現生する種としてはこの地球上で最大の動物で全長26メートルもある。記録では体長34メートルのものまで確認されている。

 そんな巨大な体なら肛門だって大きいはずで、1メートルあったとしてもおかしくはないと海外のSNSで議論されていた。

 だが問題は、その真偽をどうやって確かめるかということだ。

arsTechnica』ではこれを明らかにするべく、専門家の意見からその大きさについて考察している。
・最近のシロナガスクジラのデータはないに等しい

 まずこの答を難しくしている要因として、シロナガスクジラの体についてのデータが非常に貴重なものだということが挙げられている。

 スワースモア大学の生物学者マット・レズリー博士によると、大型クジラのほとんどのデータは、17世紀~19世紀の世界で捕鯨が盛んにおこなわれていた時代に得られたものなのだという。

 捕鯨が規制されている今、クジラの肛門の大きさの測定はそう簡単にできることではない。ましてや相手は世界最大種のシロナガスクジラだ。

 しかも困ったことに、当時クジラのお尻の穴の大きさに関心を示した人はほとんどいなかった。人々の関心は、どれだけ血と肉と脂肪を得られるかにあったからだ。

 そのために、死屍累々を重ねて得られた貴重なクジラのデータであっても、噂の真偽を確かめられないのだという。

シロナガスクジラ
Pixabay

・お尻の切れ目の大きさならデータあり

 レズリー博士によると、クジラのメスの尾びれの根本には切れ目があるという。これは生殖器と肛門のカバーのようなものだ。

 この部分の長さならきちんと計測データがあるようで、1.2~1.5メートルであるそうだ(なおオスには切れ目が2つあり、それぞれ生殖器とお尻の穴をおおっている)。

 シロナガスクジラの数は昔と比べて激減している。彼らがたくさんいた時代よりも大きな個体など現代ではそうそういないだろうから、ひとまずこの大きさをお尻の穴の上限と推定しても良さそうだ。

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image by:J. Dubar

・クジラのフンの大きさから肛門の大きさを推測できるか?

 お尻の穴はもちろんフンを出すためのものだ。そして合理的に考えるのなら、お尻の穴の大きさはそこから出るものの大きさを反映しているはずだ。

 幸いにして、クジラのフンなら採取しても違法ではない。ここから肛門の大きさを推定することはできないだろうか?

 世の中には変わり者がいるもので、なんとクジラのフンの専門家がいる。その人物、スミソニアン博物館の化石海洋生物学者ニック・ピエンソン博士によると、クジラのフンは一般に「ブリストル便性状スケール(BSスケール)」で、5から6くらいなのだという。

 BSスケールとは便の状態を判別するための指標で、その形状と硬さに応じて7段階で評価する。5から6というのは、一応形があるウンチとほとんど液体のウンチの中間くらいだ。

 ピエンソン博士によると、クジラのウンチは人間のものとはかなり違い、水中で雲のように拡散するのだそうだ。海の中でぷかりと浮かぶような代物ではないのだから、これを採取して肛門の大きさを推測するのは難しいようだ。

シロナガスクジラ
Pixabay

・食べ物から推測できるか?

 テキサスA&大学の海洋生物学者ダラ・オーバック教授によると、肛門の大きさは体の大きさに比例する。この理屈によるならば、シロナガスクジラの肛門はかなり大きいということになる。

 しかし、これはあくまで一般論で、絶対の法則ではない。

 シロナガスクジラは「ヒゲクジラ」というグループに属している。この仲間の口には歯が生えておらず、かわりに上顎から生える「ひげ板」という器官で、小さなプランクトンやオキアミなどをこしとって食べている。

 つまりシロナガスクジラはでかい図体にもかかわらず、小さなエサしか食べない。このことから考えると、その肛門が巨大である可能性は低いだろうとオーバック教授は述べている。


See Blue Whales Lunge For Dinner in Beautiful Drone Footage | National Geographic

・体に反してお尻の穴は小さい?

 結局、シロナガスクジラのお尻の穴がどのくらいの大きさなのか断言することはできない。が、レズリー博士とピエンソン博士の推定では、10~15センチ程度だという。26メートルの体にソフトボール程度の肛門とはずいぶん小さいように思える。

 もしかしたらもう少し大きい可能性もあるようだ。

 その根拠は、1827年に出版された『Osteographie de la baleine echouee a l'est du port d'Ostende le 4 novembre 1827』という本だ。ここになんと全長25メートルのシロナガスクジラのメスの外性器と肛門の図解が掲載されているのだ。

 その図解の下に引かれている尺度図の1目盛りはどうやら10センチだと考えられる。だとするならば、肛門は15~20センチくらいということになる。

 ただし、この図解が描かれたとき、クジラはすでに腐敗が始まっており、生きていたときよりは広がっていた可能性もある。それゆえに正確なところはやはりわからない。

 それでも、ネットで噂されているように1メートルを超えるような巨大な肛門ということはなさそうだ。

 シロナガスクジラの肛門の大きさなんて考えたこともなかったが、世界には様々なことに好奇心を持つ人がいるようだ。そしてネットを駆使しても、なかなか答えにたどり着かないこともあるってことを学べた気がする。

References:arstechnica/ written by hiroching / edited by parumo
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