2021年のキーワード 「社会の分断」が描かれた小説4作 (3/3ページ)

新刊JP

建物内に残された食料で飢えをしのいでいるうちに、クーデターは成就、新政府が樹立するが、町では無期限の夜間外出禁止令が出されることとなり、主人公はこの都市からの脱出を試みる。

■ドミニカの独裁者暗殺の一日を描いた大作『チボの狂宴』

表紙

クーデターの企画から実行、成就までを複数の視点から克明に描いているのが『チボの狂宴』(バルガス・リョサ著)である。

かつてドミニカ共和国で30年以上にわたり強権政治を敷いていたラファエル・トルヒーヨの暗殺事件とその後に起きたクーデターの一部始終が虚実交えて書かれているのだが、強烈なのは一連のクーデター事件の中で「悪者」になってしまった人々の末路である。目を覆いたくなるほどの拷問シーンは一度読んだらトラウマになるはず。

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「社会の分断」は2021年もひきつづきキーワードになりそうな気配だが、文学を紐解くと、分断を煽るのは論外としても、分断は統合されうるものなのか(もしかしたら、ある分断された陣営を統合することは、別の分断を生み出すだけかもしれない)、統合されるべきものなのかが、よくわからなくなってくる。

確かなのは「人類の歴史は分断と争いの歴史だった」ということくらいだ。ここで紹介した4作品はそのことをよく表しているように思う。

(山田洋介/新刊JP編集部)

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