能力の低い指導者が多い理由。ダニング=クルーガー効果を引き起こす脳活動の検出に成功(米研究) (2/3ページ)
実験結果は過去の研究でも示されてきたとおりだった。成績が一番悪かったグループは、自分の成績を過大評価していた一方、成績が一番良かったグループは、自分の成績を過小評価していた。
また、回答までの反応時間を分析したところ、自分の成績を過大・過小評価する人は、自己評価の判断が早い傾向にあることが判明したという。
さらに脳波のデータからは、自分を過大・過小評価する人たちは、記憶の異なるプロセスに依存していたり、影響を受けていることが明らかになった。
特に自分を過大評価した人たちは、文脈に基づく情報を欠いた一般的な感覚(直感)に頼っていることを示す脳活動のパターンを示したという。
研究グループのリチャード・アダンテ氏は、「すぐに見て取れるのは、自分が他人よりも優れている(劣っている)などと性急に考えるべきではないことです」と話す。
自信過剰になりがちな人は、もっと謙虚になり、曖昧な直感などではなく具体的な事実に基づいて考えるべきなのだと語る。
逆に非常に優秀なのに自分を過小評価する人たちは、自分は他人よりも劣っていると考え引っ込み思案になっているという。もっと自分を信じるべきだと語る。
要するに自分を過大評価する人も過小評価する人も、どちらも客観的に自己の認知できていないということになる。
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・能力の低い人ほど指導者になっている理由
アダンテ氏によれば、この研究結果は、能力がないのに指導する立場につている人たちがたくさんいる理由の1つにつながるという。
非常に優秀であっても、自分に自信がなければあえて指導者の立場に立とうとは思わないだろう。
その一方、能力がなくても自信だけはある人は、怖気付くことなく我こそはと名乗り出る。だから、無能なリーダーが増えてしまうというのだ。