【徹底検証】映画『えんとつ町のプペル』を偏見ゼロでレビュー! 評価できる3つのポイント (3/3ページ)

まいじつ

そんな中、「えんとつ町のプペル」が現時点で興行収入15億に近いヒットを記録しているのは、エポックメイキングな出来事と言わざるをえない。同作のヒットが前例となり、国内のアニメ市場に手書き以外の選択肢が増えることも期待できそうだ。

ポイントその3『アニメ制作会社がSTUDIO 4℃であること』

制作を担当した『STUDIO 4℃』というアニメ会社は、とにかく尖りまくった映像を作ることで有名だ。スチームパンクと現代日本の風景を織り交ぜたような、独特で緻密な世界観を打ち出した作品を20年以上作り続けており、湯浅政明監督の『マインド・ゲーム』やマイケル・アリアス監督の『鉄コン筋クリート』などヒット作も数多い。

アニメマニアであれば誰もが知るスタジオだが、独特すぎる作風やTVアニメシリーズをほとんど手掛けないという方針も相まって、決してメジャーとは言えない。しかし「えんとつ町のプペル」では、そんな「STUDIO 4℃」の世界観がこれでもかとフィーチャーされている。映画の影のメインとも言える「えんとつ町」の風景をはじめ、キャラクターのデフォルメ感から小物の描写に至るまで、全てが「STUDIO 4℃」のこだわりを感じるデザインばかり。

それだけであればいつもの「STUDIO 4℃」とも言えるが、同作では町の中に飾られる店の看板が、全てクラウドファンディングで支援を行った人々の名前になっている。もちろん作品世界を壊さないよう、うまく架空の店名にアレンジされているのだが、それでも事情を知っている人間であれば町の風景のディテールに思わず目を凝らしてしまうだろう。

アニメマニアがいくら「STUDIO 4℃」の作風や画面の緻密さを語ったところで、興味のない一般人は振り向かない。ところが「えんとつ町のプペル」では思わぬ方法によって、ディテールを楽しむ導線を示している。これは本当に見事なアイデアだと感じた。

たしかに「佳作」だが重要なのは…

「えんとつ町のプペル」はよくも悪くも、ストーリーや設定自体が目立つ作品ではない。しかしむしろ、映画が作られたバックグラウンドにこそ魅力が隠されている。映画のヒットをきっかけとしてマニアックな要素がメジャーシーンに開かれ、アニメ業界の未来が変わる──そんな期待も湧いてきてしまう。

お笑い好きやアニメマニアは、同作を取り巻く状況に不信感を抱いているかもしれない。しかしそんな人にこそ、一度は映画館に足を運んでみてほしい。斜に構えずスクリーンと向き合えば、きっと見えてくるものがあるはずだ。

文=富岳良
写真=富岳良(まいじつエンタ)

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