松井珠理奈「11歳でAKB48のセンター抜擢」強い責任感で後輩を育てた魂は後輩に受け継がれる【アイドルセンター論】

日刊大衆

松井珠理奈
松井珠理奈

なぜ彼女たちは「センター」に立ったのか⁉
アイドルセンター論
SKE48 松井珠理奈(後編)

 11歳という若さでAKB48のセンターに抜擢、最年少ながらSKE48の看板を背負い、孤独とそしてプレッシャーと戦い続けてきた松井珠理奈。11歳の少女が背負うものとしてはあまりにも重すぎた……というのが正直なところだろう。それでもなお、彼女は”強さ”をファンに見せ続けてきた。彼女が切り開いたSKE48のセンター像を改めて考えてみたい。

 SKE48の特徴はキレキレのダンスに代表される体育会系であると言われる。AKB48の姉妹グループとして結成されたSKE48は、振付師の牧野アンナによる厳しい指導を受け、AKB48との差別化が図られるなかで、SKE48イズムともいうべき「闘争心むき出しのがむしゃらさ」をグループのカラーに落とし込んできた。

 珠理奈はパフォーマンスにおいても、精神面においてもこの脈々と受け継がれるSKE48イズムを体現してきたような存在だ。そのため珠理奈に対する世間のイメージは“強さ”をもって語られることが多い。それこそバチバチと闘争心をむき出しに戦い続けるファイターのような存在に近い部分がある。しかし、強いイメージとは裏腹に彼女は繊細な部分も持ち合わせている。

 珠理奈のその強さの裏にあるのは、グループを引っ張っていかなくてはいけないという強い責任感だ。『IDOL AND READ 012』(シンコーミュージック)のインタビューで珠理奈は「弱音を吐いちゃいけないのかなと思ってやってきたので。きっと表向きにはそういうところが強く伝わって、強そうだなっていうイメージになったんじゃないかなって思いますね」と回顧しているように、珠理奈の表向きの強さは、ある種強がりでもあり虚像であること(実は甘えん坊な一面がある)が明かされている。グループを引っ張っていかなくてはいけないという過度な責任感の強さが、珠理奈を強く見せているのである。

 ドキュメンタリー映画『アイドル』にて、インタビュアーからの「珠理奈さんは強い人ですか?」という質問に対して須田亜香里が「弱みを出せないってことが圧倒的な弱さじゃないですか」と指摘していたことが強く印象に残っているが、珠理奈を側で見ていたメンバーやファンの多くは彼女の弱さにも気づいていた。

 あまりにまっすぐ過ぎる(それが魅力でもあるのだが)がゆえに誤解を与えることも多くあるが、SKE48を第一に考え、AKB48を超えるという目標を叶えるために献身的に尽くしてきたからこそ今のSKE48がある。

 地元名古屋で開催された『AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙』での1位はそうした珠理奈のひたむきな努力と熱さがファンの気持ちを揺さぶり掴んだ結果に他ならない。

 珠理奈が作り上げてきたセンター像は後輩のメンバーにも大きな影響を与えている。

 9期生でセンター経験も多い青海ひな乃は対談インタビューで「珠理奈さんがSKE48を引っ張る姿を見て、SKE48をもっと好きになったので。次は私がSKE48を知らない人を好きにさせられるような、SKE48を引っ張っていける存在になりたいです」と語り、林美澪もまた「珠理奈さんの思いを受け継いでグループ全体で頑張っていけたらいいなと思います」(『EX大衆 』2021年2月号)と珠理奈に対する思いと今後の抱負を語っている。

 この後輩の言葉を見ていると、珠理奈が弱さを見せずに戦い続けてきたことも、決して無駄ではなかったことが理解できる。

 過去にインタビューで「自分が卒業するタイミングを考えることはあって、それは後輩たちが育って、しっかりと任せられるようになったときだと思うんです」(『SKE48の10乗』扶桑社)と卒業するタイミングについてこのように語っていた珠理奈。どこまでもグループのことを第一に考えてきた珠理奈らしい発言だ。

 大黒柱である珠理奈が抜けた穴は決して小さくはないが、後輩メンバーが口々にグループを引っ張っていきたいと発言しているのを見ていると、珠理奈が抜けてもSKE48は安泰だとそう思わせてくれる。SKE48は珠理奈から何を受け継ぎ、どう変わっていくのか、注目したい。

(文=川崎龍也)

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