『ボス恋』ひたすら恋バナ回も…”当て馬枠”間宮祥太朗の“グッサリ”くる優しさに涙!
ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)の7話はひたすら恋バナだった。好きな人が幸せになるために犠牲にした想いが、これほど切ないものになるということを忘れていたように感じた。
■傷をつけず、痕を残すこともしない中沢に泣く
奈未(上白石萌音/22)の恋も仕事も7話になった。仕事で訪れた地方で、東京行きの終電車に接続するバスに乗り遅れた奈未と中沢(間宮祥太朗/27)。山間部を通るバスの時刻と電車の本数が少ないのは分かり切っていることで、そんな場所で営業している旅館なんて限られているのに、1部屋しか空いていないという。ある意味で絶好の機会になった訳だが、中沢は落ち着いていた。和室の広い部屋だから一緒でも大丈夫だと焦って取り繕う奈未に、ゆっくり、正確に伝えるのだ。
「もし、お前が俺の彼女だったら、俺は、お前が他の男と泊るのは嫌だ」
めちゃくちゃ優しい顔で、奈未が彼女だったらと言わんばかりに、でもきっちり線を引くのが潔くて泣けた。奈未も、奈未の彼氏である潤之介(Kis-My-Ft2・玉森裕太/30)も傷付けないし、奈未と一緒の時間を過ごすことで得られるかもしれない幸せな時間や自己アピールをすることもなく、部屋を立ち去るなんてカッコよすぎる。
潤之介に「(奈未のことを)隠れてコソコソとかするのも嫌なんで」と直接言っていたことに繋がって、中沢の男らしい振る舞いにまた泣けた。そもそも、奈未がブレスレットを落としたことから始まったハプニング。潤之介からもらったものだということを認識したうえで探してあげる中沢の優しさが染みる。
■切なすぎる展開の中に人柄を見る
旅館を出た中沢は、真冬の山奥にあるキャンプ地で落したブレスレットを夜通しで探していた。他に旅館があるとも思えないような場所でやることもなかっただろうし、だからといって懐中電灯一つで無謀ともいえる探し物をするなんて、まさに中沢の気持ちを表しているかのようでまた泣けた。
既に彼氏のいる女を好きになってしまい、でも自分の気持ちを諦められなくて、手探りでもきっかけを見つけたいという想い。優しさの塊でありながら一途なところにもグッとくる。その反面、告白の返事をされることに戸惑ってしまう可愛いところもあって「(返事は今ではなく)明日の朝にしてほしい」と返答してしまう。
意外とシャイなことに小さな驚きもあって感情をくすぐられたのだが、返事を先延ばしにしたことで、中沢自身がよい返事ではないだろうと予想していることを感じさせた。これを裏付けるように、シーン終わりの中沢が部屋を出ていく様子に、先の暗い展開を感じさせた。
手前から奥へ立ち去るというのは印象が小さくなることを意味していて、中沢の存在が小さくなると同時に奈未と潤之介のターンになることを予感させた。そして、中沢にとって切なすぎる朝が訪れる。
■ひたすら中沢に酔いしれた7話
朝になり、奈未が旅館の外に出ると潤之介がいるという願ってもない状況に、あらためて気持ちを確かめ合って体を寄せ合う二人。身長差があるから奈未はかかとを上げてしがみつくように手を伸ばして、また潤之介が包むように抱き合う二人がとてもいい。と同時に、中沢の存在が気になって仕方がない。頼むから、今、来ないでほしい。この二人を見ないでほしい……。そんなささやかな願いを打ち砕くように、中沢が歩いてくる。
もうね、仕事人だからしっかりブレスレットを見つけてくるわけです。一晩中、極寒で真っ暗な川沿いという絶望的な場所で、黒色のコードに三連の小さなリングが付いたアクセサリーを見つけるなんて奇跡みたいなことを成し遂げてしまう。
抱き合う二人をしばし見つめ、ブレスレットを奈未の荷物の横にそっと置いて、自分の荷物だけ持って立ち去る中沢が切なすぎる。ブレスレットと一緒に残したのは、奈未への想い。奈未の口から告白の返答を聞くまでもなく、事実で知らされてしてしまうなんて酷すぎる。
もう誰もが感じていることだが、中沢は『ドS先輩』などではなく何事にも真剣で真っ直ぐな人なのだ。めちゃくちゃ優しくて、好きな女に弱くて、照れくさいことが苦手でシャイなところがある。男らしい潔さがあって、隙に付け入るようなことはしないし、正々堂々と立ち向かう強さがある。
旅館で何かあっても仕方ないといえる状況で、奈未と潤之介を傷つけたり、奈未の心に自分の存在を残すようなことはしなかったが、視聴者の心にはグッサリと傷をつけて痕跡を残したと言える。真夜中にバイクを走らせて奈未を探しに行く潤之介が霞むほどにいい男だった。
(文・青石 爽)
『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』は、大手出版社から新創刊される女性向けファッション雑誌編集部を舞台にしたオリジナル脚本。鈴木奈未(上白石萌音)は地方の田舎町で生まれ育ち、普通・人並み・安定を求める平凡な女性。ひょんなことからファッション雑誌の編集部で働くことになり、超ドS上司・宝来麗子(菜々緒)に振り回されたり、子犬系イケメンカメラマン・潤之介(玉森裕太)にキュンとしたりと、仕事に恋に悪戦苦闘しながらも成長していくお仕事&ラブコメディードラマ。1月12日から火曜日22時、TBS系で放送。