自分の母親を殺そうとした男の末路…平安時代の説話集『日本霊異記』が伝える親心エピソード (2/3ページ)
「うるせぇ、この××婆ぁ!お前みたいな△□なんか☆〇してブッ殺してやるんだ!」
「そんな罰当たりなことを言ったらダメ!いつもの優しいお前に戻っておくれ!」
「黙れ黙れ黙れ……っ!」
必死の説得も聞く耳持たず、息子が研ぎ上がった刀を振りかざして母親に斬りかかった、次の瞬間。
「あぁっ!」
どうしたことか足元の地面がバックリと裂けて、息子は奈落の底へ落ちかけます。
(※)『日本霊異記』では、こういう不思議なエピソードが集められています。
「危ないっ!」
母親がとっさに息子の髪をつかんだお陰で、息子の身体は宙づり状態となりましたが、成人男性の体重を、年老いた母親一人で支えるのは大変です。
これは息子に対する天罰に違いない……母親は必死に耐えながら、天を仰いで叫びます。
「吾(あ)が子は物に託(くる)ひて事を為せり。実(まこと)の現(うつ)し心には非ず。願はくは罪を免(ゆる)し給へ」
【意訳】私の息子はモノノケに狂わされてこんな事をしてしまったのです。本心から私を憎んでいる訳ではなく、本当はとてもよい子なのです。どうかこの子の罪をお許し下さい。お願いします!
「うるせぇ、××婆ぁ!痛ぇじゃねぇか、放しやがれ!」
この期に及んでも錯乱状態の息子は自分を助けようとしている母親への悪態をやめず、また天もその罪を許すことなく、息子の髪がブチブチと切れてしまいました。