インパール作戦に注目しても意味がない 歴史から教訓を得るために本当に必要なこと (2/3ページ)
こうした時代を「成功体験」として記憶している人は、そこで自分が手にした既得権益を守ろうとして、現状維持の考え方になりますから、いくら「歴史で失敗の教訓を学ぼう」と言っても、聞く耳を持たないでしょう。こうしたことが「歴史の事実や教訓に謙虚であれ」という大切な教えを、いつの間にか忘れてしまった要因ではないでしょうか。
――「歴史から学ぶ」ということについて、よくビジネス誌などではインパール作戦のような旧日本軍の失敗談が教訓として挙げられていますが、太平洋戦争以前の近現代史はあまり顧みられていないように見えて、不思議な印象です。
坂木:昔の軍隊の失敗が今もビジネスの現場で繰り返されている、というやつですよね。それはその通りで、今も日本の企業では当時と似た失敗が繰り返されているんだと思います。ただ、そこから学びを得たいならもっと根本から振り返るべきです。
本でも書きましたが、明治維新当時、政治家たちは天皇を頂点とする家族的な国を作ろうとしました。そこで天皇のためなら命を捧げて当然なんだという価値観が徹底的に植え付けられたんです。インパール作戦の失敗の根本はそこにあるわけで、作戦自体を取り上げるだけでは、なぜインパール作戦で無茶苦茶な命令に誰も抵抗せずに従ってしまったのかはわからないでしょう。
――また坂木さんから見て歴史から正しく学んでいると思える国はどの国ですか?
坂木:ドイツでしょうね。ネオナチがまだ活動していますが、ドイツはナチスドイツが歴史上犯した所業を常に頭の片隅に置いて、根幹は何とかブレずに持ちこたえているように見えます。
ただ、植民地を持っていた国は多かれ少なかれ「負の遺産」を今も抱えていますよね。植民地との間の禍根がすべてなくなるということはなかなか難しいのではないかと思います。
――今回の本をどんな方々に向けて書かれましたか?
坂木:ぜひ若い方に読んでいただいて、考えてほしいと考えています。今の日本は、政治や経済を見ても、主導権を握っているのは「年寄り」です。彼らは、もう時代は変わっているのに、いまだに昔の成功体験に浸っている。