「致死率80%減」報道でバカ売れ!「コロナ未承認薬」に潜む副作用リスク (2/3ページ)

Asagei Biz

 その情報源のひとつとなっていたのが、1月4日付の英国「デイリーメール」が報じた〈日本薬イベルメクチン、新型コロナ致死率80%減少効果〉という記事だ。英リバプール大のウイルス専門医による報告で、この注目の薬が投与された患者573人中の死者は8人、対して偽薬投与の510人では44人が死亡。そして前者は〈患者の体内で新型コロナウイルスが除去されるのにかかる時間を大幅に短縮させる〉としているのだ。

 改めて、このコロナ薬の正式名称は「イベルメクチン」。容量、ジェネリック薬などによって違いはあるが、価格はおよそ7000円〜2万円台で販売されている。はたして、本当に奇跡の治療薬となるのだろうか。

 一般には聞き慣れない同薬について、医療に詳しいジャーナリストの村上和巳氏が説明する。

「イベルメクチンは、日本では疥癬(かいせん・ヒゼンダニによる皮膚の炎症)、海外ではオンコセルカ症(河川盲目症と呼ばれる失明の原因)などに有効な薬として使われているものです。また、この薬はノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大・大村智特別栄誉教授が、静岡県のゴルフ場の土壌から発見したという細菌が作る物質から開発された薬としても知られています」

 なんと、ノーベル賞博士のお墨付きとなれば、私たち日本人もひと安心となるはずだ。

 このイベルメクチン、海外ではすでにエジプト、インド、イラク、バングラデシュなどの医療機関で、コロナ患者の入院日数の短縮、死亡率の軽減などの報告がなされている。

 また、南米ペルーやボリビア、南アフリカでは政府が新型コロナウイルスの治療薬として承認し、臨床試験を開始しているというのだ。

 とはいえ、開発国である日本だけが後れをとっているのはなぜなのか。

 社会部記者が解説する。

「イベルメクチンは日本でも、北里大など一部の病院で臨床試験が行われています。3月末をメドに試験を終え、その結果次第では、抗ウイルス薬として認可される可能性があるのです」

 現在、新型コロナウイルスの治療薬として認可されているのは、ウイルス増殖を抑える抗ウイルス薬「レムデシビル」と、従来の肺炎など感染症で用いられているステロイド薬の「デキサメタゾン」の2種類のみ。

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