武藤敬司「58歳の新チャンピオン」生涯現役インタビュー! (2/3ページ)
武藤 やっぱり、他のスポーツじゃ、ありえないことだからね。「58歳のヤツが挑戦できるのかよ?」って捉える人もいるはずだし。だって、『サザエさん』の磯野波平だって54歳で、俺より4つも下だもん(笑)。
ーー波平さん、意外と若いんですね(笑)。
武藤 猪木さんや馬場さんが最後にシングルのタイトルマッチをやったのだって、40代後半らしいからね。だから、俺がプロレス界のイメージを落としてしまうのではという、ちょっとした怖さはあった。でも、引っ込むより、やって文句を言われたほうがいいと思ってね。
ーー実際、そんな批判的な声を吹き飛ばす試合でした。
武藤 プロレスって“答え”がないもので、お客さんが判断することだからね。手応え的には、観客を俺の手のひらの上で転がしたような感覚がありますよ。
■リングを降りたら、何もできない
ーーコロナ禍での試合で、観客はマスク着用、声を出しての応援も制限されていましたが、試合が進むにつれて客席も熱を帯びていきました。
武藤 プロレスファンの多くは、俺のことを長く追ってくれてるんですよ。だから俺の膝が壊れていることも、(必殺技の)ムーンサルトプレスがもうできないのも知ってる。試合の中で、そういうファンの記憶に訴える動きを挟み込んでるから、感情移入しやすいんだと思う。そこはキャリアを積んだ者の強みだよね。あとは、この年になると、試合中ホントに苦しいからさ、表情とかにリアリティがあるんだよ。逆に言えば、若い頃は、いかに痛みや苦しさを表現したとしても、今よりリアリティがなかったんだろうな(笑)。そういう意味では、昔より今のほうが、より観客の心に訴えることはできているよね。
激闘の代償として、武藤は20代から膝のケガとも闘ってきた。10年ほど前からは私生活にも支障をきたすほど悪化しており、2018年には両膝の人工関節置換手術を受けた。