レッドソックス澤村が「見せしめ」に選ばれた米球界のウラ事情 (2/2ページ)
これらはいわば、チームが"歓待の意”を示す恒例行事だが、ゲーム中には審判が新人に対して厳しくあたるケースもあるようだ。
野球規則8・02条によれば、ピッチャープレートの半径約5・5メートル以内で指を温めるなどのため、息を吹きかける行為は「反則」と定められている。ボール交換、自動的にボールカウントが追加宣告されたのは規則通りではあるが、「他投手なら見逃していた」と、米国メディアも“新人イジメ”だと指摘していた。
「球審を務めたアンディ・フレッチャー氏は球宴でのジャッジ経験もあるベテランです」(同前)
それでも冷静さを失わず、1イニングと3分の1をゼロに抑えた澤村は立派だ。しかし、標的にさえた理由もないわけではなかった。
「近年、3A以下のマイナーリーグではピッチャーの反則行為がなくなりません。グラブにこっそり滑り止めのマツヤニを隠してつけておいたり、審判の目を盗んで指を濡らすなど…。不正とそれを見破る審判とマイナー投手のいたちごっこになっています」(ベテラン記者)
レッドソックスは米国中にファンを持つ伝統球団でもある。そのチームの新人に厳しく接すれば、マイナーリーグ全体にも「不正はできない」と広がるはず。審判団にはそんな狙いがあったようだ。
こうしたメジャーの洗礼を浴びても、試合後の澤村は淡々としていたという。度胸の座った立ち振る舞いからして、セットアッパーからクローザーに転向する日もそう遠くないようだ。
(スポーツライター・飯山満)
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