「僕は僕を好きになる」MVの山下美月に見られるプロフェッショナルとしてのアイドル【乃木坂46「個人PVという実験場」第17回5/5】 (2/3ページ)

日刊大衆

https://www.youtube.com/watch?v=F_WgREJgJhw
(※「僕は僕を好きになる」MV)

 センターを務める山下美月の行動にフォーカスするこのMVでは、「楽曲パフォーマンス収録を終えた山下が帰宅し家族と食卓を囲む」「他メンバーと待ち合わせて渋谷を散策する」「メンバーたちと別れて一人タクシーに乗る」といった、一見プライベートであるようなカットがことごとく「そうしたさまを演じる仕事」であったと判明していく。

 エンドレスにオンとオフが侵食し合う状況を描き出したこのMVはほとんど、アイドルという職能とメディア環境とをめぐる教材のようでさえある。眼差しに追われ続けるその構造は、静かな怖さを感じさせる。

■アイドルという職業的性格そのものを物語る

 一方でこのMVは、アイドルの職業的性格を巧みに物語ってみせるものでもある。アイドルはいくつもの異なる位相のキャラクター、アイコン、登場人物を次々に上演し続けることをその職能とする。

 さまざまなジャンルへ越境しながらなにがしかを演じ続けることは、わかりやすく特定の一分野に専従する仕事とは性格が異なるだけに、そのプロフェッショナル性が認知されにくくもある。

 プロフェッショナルとしてのアイドルであるとは、具体的にどのようなことなのか。それを視覚的に解き明かすものとして、この5分強の映像には新鮮な説得力がある。

 グループの矜持と希望を感じさせるラストは、この職能を肯定するような晴れやかさをたたえている。アイドルという職業が必ずしも理解されやすいものではないからこそ、このMVの志向には意義がある。

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