現代社会で喪失しつつあるつながりと神話の存在感の消失との関係性 (4/4ページ)

心に残る家族葬

しかしそれは同時に、個を超えた大いなるものとの、縦のつながりの喪失であり、人間が生きる上での意味付け・指針の喪失であった。そのような喪失の時代で人間は、意味ある存在として生き、悔い無き死を迎えられるのだろうか。人生が無意味であることが生きがいの喪失につながることは明白である。トランスパーソナル心理学の論客・諸富祥彦は「人生の無意味」が深刻な「スピリチュアルペイン」を引き起こすと指摘している(3)

■神話=「大きな物語」の再建

人間は完全な個人ではいられない。キリスト教学者・小田垣雅也は「自分の生死の意味を支える、絶対的な価値の体系・物語を求めざるをえなくなる」と述べている(4)。

縦の「つながり」を伝える現代の神話=「大きな物語」の再建は、横のつながりにおいても健全な位置を発見し、人間性を回復する一助になるのではないか。その具体的な手引きとして、トランスパーソナル心理学が示す人間観、死生観、コスモロジーが参考になるだろう。コロナ禍にあって、最期の別れすら容易ではなくなった今こそ「つながり」の神話が必要なのではないか。

■参考資料

(1)岡野守也『トランスパーソナル心理学』2000、青土社
(2)岡野守也『コスモロジーの創造』2000年、法蔵館
(3)諸富祥彦『人生に意味はあるか』2005年、講談社現代新書
(4)小田垣雅也『現代のキリスト教』1996年、講談社学術文庫

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