渡辺明三冠インタビュー「今後の将棋界は藤井聡太二冠を中心に回る。すべてのタイトル戦を席巻していくことでしょう」 (2/2ページ)

日刊大衆

受験勉強と同じで、いくらこなしても、結果が出なければ評価されません。それでもプロとして、このことを最も心がけています。

 具体的には、いつも1週間単位で、研究に費やす時間のスケジュールを立てています。それを決めていないと、空いた時間に研究することになり、研究時間にバラツキが生じてしまいますから。何も予定がない日なら、朝9時くらいから研究を始めて、夜まで続けます。もちろん、日によっては外出することもありますし、途中で他のこと……野球や競馬を見たりすることもあります。あまり、オンとオフの切り替えはないかもしれませんね。集中力がないんで(笑)。

 AIが出てくるまでは、せいぜい30手目くらいまでの研究をしていたのが、今では倍に……下手したら、もっと“奥”まで突き詰めるようになった。だから、5年前に比べると、ふだんの研究量は圧倒的に増えました。とにかく研究することが多くて、忙しくなりましたね。大好きな競馬を楽しむ時間も、ずいぶんなくなってしまいました(笑)。AIの影響で、今の棋士はどんどん研究者肌になっていっている印象です。これからもその流れは続くでしょうね。

 4月23日で37歳になりましたが、現在の目標は2つ。タイトルを持ち続けること、そして、もしタイトルをすべて失っても、毎年タイトル戦のどれかには出場することです。

 特に、今後の将棋界は、藤井聡太二冠を中心に回っていくことは間違いありません。今後はすべてのタイトル戦を席巻していくことでしょう。

 そのとき、注目度が高い藤井君の対戦相手が強ければ強いほど、将棋界は大いに盛り上がるはず。その一番手を私が担うという意識は、常に持っています。

渡辺 明(わたなべ・あきら)
1984年、東京都生まれ。小学1年から将棋を始め、2000年に史上4人目の中学生棋士となる。2004年、初めてのタイトルとなる竜王を獲得。以降、順位戦やタイトル戦で活躍を続け、2020年には豊島将之名人を破り、第78期名人の座に。現在、名人、棋王、王将の三冠の他、永世竜王と永世棋王の資格(引退後に襲名)を保持。タイトル通算獲得数は、羽生善治、大山康晴、中原誠に次ぐ歴代4位となる28期。

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