イケメンに幻滅。外見で判断して付き合ってはいけない理由 (3/3ページ)
やっぱり好きかも、この人のこと……と隣の麗しい横顔を振り向くと、彼はスマホをいじりながら曲を選んでいる。
音楽の演出なんていいのに……と恥じらいそうになった瞬間、彼は勢いよく立ち上がりスマホを砂浜に投げ出した。
アップテンポのダンスナンバーが大音量で流れる中、彼は軽快なステップを踏み出した。
「今度のオーディションでこの曲やるんだよね!」と嬉しそうな彼。どんどん落ちていく夕陽。(おいおい嘘だろ……今踊るのか……?)
背中に感じる他人からの視線。恥ずかしさと落胆と戸惑いのごった煮みたいな息苦しい気持ちが胸に広がっていく。
砂に足を取られてうまく動けないだろうにノリノリで踊るヘーゼルアイの君を横目に、私は自分の目から光が消えていくのをしっかり感じた。
あー最後の灯火が消えたわ、と。
砂の舞を終えた彼は、満足げに腰を下ろしながら「くるみ、付き合お?」と顔を寄せてきたが、私の心にはさざ波ひとつ立たなかった。
ただ、橙色の光で縁取られた横顔だけは最後まで美しかった。
■イタい恋から得た教訓「美形にアプローチされて舞い上がってはいけない」
思えば最初から話は合わなかった。私と一緒にいるときの彼は自分の話ばっかりで、お互い好きでもなんでもなかったのだろう。
野暮ったいウブな女子が慣れない華やかな場で美形に声をかけられ有頂天になり、恋に恋したというチープ極まる話。
私は美形の隣を歩く自分に酔い、虚栄心をエンジンに突っ走っただけ。一瞬でついた恋の火は一瞬で吹き消された。
音が降り注ぐあのクラブで、そのまま一緒に踊ってさよならをすれば、一生胸に残るような、もどかしく甘美な思い出になったかもしれない。
(文・ジェラシーくるみ、イラスト・菜々子)