鈴木あきひろが訊く『こども六法』が目指した法教育の未来 (3/5ページ)
都に求められているいじめ問題への対応
鈴木: 東京都議会では現在、社会的養護を議題として扱っています。たとえば、児童虐待の事例は各児童相談所に年間で2〜3万件にものぼります。ここで大きな問題になっているのが、子ども自身の意見表明権が担保されていないという事実です。
実際に私も一時保護所などに訪問し、子どもたちから話を聞きました。そして、彼らの悲痛な叫びを行政がしっかり受け止められなかったことが、最悪な事例を招いているのだと感じました。
日本では国連による「子どもの権利条約」が批准されていますが、国内法との相違が多く、現場での運用が困難な状況が続いています。この制度を変えるべく、東京都では子どもの意見表明権をしっかり担保できる条例の制定などを進めています。
山崎さんが考える「いじめの解決」も、原点は一緒だと思いますがいかがでしょうか?
山崎: そうですね。たとえば「いじめ防止対策推進法」は、それまで教員の方々の所感に頼っていたいじめの判断を「被害者が嫌だと思ったら全部いじめとして扱う」に変えました。そのほかにも、大阪の寝屋川市では市議会で、子どもを守るために独自の条例が作られています。このように、国より一歩進んだ対応に努める自治体が登場するのは、地域レベルで子どもを助けていくという意味で非常に大事だと思います。
鈴木: 学校側の隠蔽体質を含む教育現場、そして教育委員会の改革も必要です。「いじめを解決できない教育力」を教師や学校側へ問う因習が教育委員会にはあるそうで、これを教師や学校が受け入れられないと問題が長期化。その間に子どもはより多くの被害を受けて、最悪のケースに至ることも少なくありません。
ただ、教育委員会は行政の執行機関とは独立した団体であり、監査制度はあるものの、なかなか改革は難しいというのも実情です。今後、より大きな課題になると思っています。
山崎: 教育力の問題については、「専門性に対するリスペクトが足りていない」という日本人全体の問題につながる気がします。そもそも学校の先生は、学校運営のスペシャリスト。学校の安全確保や授業組み立て、子どもの統率の専門家です。一方、暴力や窃盗が行った場合の対応は警察の範疇ですよね? 法律問題が起これば弁護士です。