背筋がゾッする… 映画『クレヨンしんちゃん』のディープすぎる「裏テーマ作品」3選 (2/2ページ)
同作に登場するカップルは結婚せずに同棲しており、その設定がチャコたちと共通している。そして「同棲時代」のヒロイン・今日子は堕胎施術の後遺症によって不妊症を患っているため、彼女をモデルとしたチャコも同じ境遇ではないか…と推測されているのだ。
その説を裏付けるかのような場面が、映画内には散見される。たとえば映画の終盤、「20世紀リバイバル計画」を止めるべくひろしがエレベーターに食らいつくシーン。ひろしは愚かな計画を遂行するケンとチャコに対して、「家族がいる幸せをあんたたちにも分けてあげたいくらいだぜ!」と糾弾。それを聞いたケンは怒りを露わにし、ひろしの手を踏みつける。感情的な行動をしないケンが、珍しく怒りを見せたシーンだった。
もしチャコが本当に不妊症であれば、ひろしの発言は決定的な暴力だ。ケンが怒りを抑えられなかったのも当然だろう。このセリフはひろしの「名言」とも言われるが、裏テーマを考えると一気に恐ろしさが際立ってくる。
現代社会の闇を抉り出すようなテーマも…<その3>『クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』
最後に紹介するのは、2016年に公開された『クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』。この作品では、しんのすけの通う「ふたば幼稚園」にサキという転入生が現れ、彼女を軸としてストーリーが展開していく。
サキは落ち着いた色の服を着て、つねに物憂げな表情を浮かべているが、その原因は家庭内でのトラブルにあると考えられる。映画冒頭ではサキが焦げたトーストやポテトチップスなどの些末な朝食を食べながら、「おいしいよ」と言っているシーンが描かれていた。
そしてこの映画の主題である「悪夢」にも、サキは苦しめられていた。父親の夢彦は彼女を助けようと奔走するが、その束縛こそがサキにとって最大の〝悪夢〟なのだ。たとえば夢彦は「友達は作らない方がいい」などと、善意によってサキを縛ってしまう…。
一言で言えば、同作の裏テーマは善意による「児童虐待」だと言える。直接的な暴力でなく、精神的な束縛による暴力である分、この問題はなおさらタチが悪い。映画の終盤、サキは「パパが困るのは嫌」と言い放つが、まさに泥沼のような依存関係を示したセリフだと考えられる。
以上のように、「クレヨンしんちゃん」の映画は視点を変えるとヘビーな問題を扱ったものが多い。たんなるメッセージではなく、リアルなテーマとして目の前に差し出すような描き方をするところも手が込んでいる。こうして見ると、大人がハマってしまうのも当然と言えるのではないだろうか。
文=「まいじつエンタ」編集部
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