葬送儀礼「骨噛み(遺骨を噛む・食す)」と発ガン性物質の六価クロム (1/2ページ)

心に残る家族葬

葬送儀礼「骨噛み(遺骨を噛む・食す)」と発ガン性物質の六価クロム

戦前の日本では「骨噛み」と呼ばれた、死者の骨を噛み、飲み込む風習があった。これは追悼の意を表しているとされている。「母を亡くしたとき、僕は遺骨を食べたいと思った」というエッセイ漫画が映画化されたが、愛するが故、遺骨を食べたいと思う気持ちは共感できるものであろう。しかし、遺骨を摂取することは少量であれば問題はないのだが、実は物理的な危険性をはらんでいる。


■骨噛みという風習

骨噛みは葬儀の後で、近親者が集まり遺骨を骨にして分け合って、食べたり飲んだりする。骨を噛む行為は日本国内の一部の地域(愛媛や兵庫、愛知、新潟など)で近年まで行われていたことが確認されている。この風習は故人に対する愛情や哀悼からきたものではあるが、中には死者の生命力や能力にあやかろうという思いから、「頭が良くなりますように」と言われ、幼いころにすりおろした火葬骨を服用したという人も居たそうだ。

■骨噛みを行った芸能人

97年に死去された俳優の勝新太郎さんは、実父の納骨式で妻の中村珠緒さんに苦笑されながら遺骨を食べ「これで父ちゃんはおれの中に入った」と話したそうだ。高倉健さんもお母様が亡くなられたときに骨を食べたというし、料理愛好家の平野レミさんも、泣き父親の骨を食べたという驚きの話をテレビで披露している。これらは、死者の魂と一体化したいという死生観の現れの一つでもあるのだ。

■骨噛みするなら六価クロムに注意

遺骨には六価クロムという有害な物質が含まれており、散骨するなら無害化する必要があると書かれている。六価クロムは、非常に強い酸化作用があり発がん性物質である。例えば、人の体に触れると皮膚の炎症を起こしたり癌の原因になったりする物質である。もちろんそのまま海に流すのは環境にも良くない。

■遺骨に六価クロムがどのようにして付着するか

クロムは金属の一部でステンレスなどに含まれている。単体のクロムが人体・自然に無害であり、三価クロムという化合物も土中に広く存在する。六価クロムは、火葬の際の台がステンレス製であった場合に長時間高温で熱すると発生、遺骨に付着する。

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