葛飾北斎の妖怪からモフモフ化け猫まで!思わずゾクっとする、浮世絵で見る妖怪たち

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葛飾北斎の妖怪からモフモフ化け猫まで!思わずゾクっとする、浮世絵で見る妖怪たち

夏といえば怪談!怪談といえば妖怪!

浮世絵にも妖怪は頻繁に登場します。

テレビや映画のなかった時代、人々は浮世絵の妖怪を見て恐怖を楽しんでいたのではないでしょうか。

ここではそんな浮世絵に描かれた、恐ろしくもどこかユーモラスで愛嬌のある妖怪たちを紹介します。

超有名な妖怪の浮世絵!《相馬の古内裏》歌川国芳

言わずと知れた国芳の名作!通称「ガシャドクロ」とも呼ばれる「相馬の古内裏」。

平将門の死後、廃墟となった将門の家(=相馬の古内裏)での出来事を描いた作品です。

暗闇から、御簾を破って出現した巨大な骸骨が、相馬の古内裏に侵入した大宅太郎光圀に襲いかかります。

この巨大な骸骨を操るのは、平将門の孤児で、父の無念を晴らそうと暗躍する滝夜叉姫。

解剖学に基づくリアルな骨格は、国芳が西洋画や医学書の挿絵を参考に描いたためと言われています。

何を描いても本当に上手!北斎の百物語から人気の3選

《百物語 お岩さん》葛飾北斎

歌舞伎や落語に登場する、四谷怪談が元になっています。

お岩は夫の裏切りで毒を飲まされ、顔半分が醜く腫れ上がったまま髪を梳き、恨みを残して悶え死に、幽霊となって復讐します。

こちらは提灯に乗り移ったお岩さん。毒によってまぶたは垂れ下がり、髪も抜け落ちてしまいました。

《百物語 さらやしき》葛飾北斎

主人の大切にしていた皿を1枚割ったため惨殺され、井戸に投げ込まれてしまったお菊。すると夜な夜な「いちまーい、にまーい… 」と皿を数える声が聞こえてきたと言います…。

この作品ではろくろ首のような姿をしており、首が皿でできています。1枚、2枚、と井戸からぬるっと出でくる不気味な様子が伝わってきます。

《百物語 小幡小平次》葛飾北斎

小幡 小平次(こはだ こへいじ)は売れない歌舞伎役者。しかし幽霊の役だけは上手いと名をあげました。

しかし妻の裏切りに遭い、不倫相手の鼓打ちに殺されます。

幽霊となった小平次は、復讐のため妻と不倫相手の寝床に現れました。

幽霊役がとても上手かったため、幽霊になっても生前と変わらなかったと言います。

これなら会ってみたい!月岡芳年の美しすぎる妖怪・妖精たち

36の妖怪や幽霊を描いた月岡芳年の連作浮世絵「新形三十六怪撰」シリーズの一部です。

《小町桜の精》月岡芳年

歌舞伎演目「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」に登場する小町桜の精です。

雪の降り積もる逢坂の関では、不思議と桜の花が咲いています。

関守の関兵衛(せきもりのせきべえ)こと、天下を狙う大伴黒主が、野望の成就祈願の護摩木にと桜の木を切ろうとすると、美しい女性が現れました。

傾城墨染と名乗る女性は小町桜の精で、関兵衛の本性を見破りました。

淡い色合いと儚げな出立ちが美しい作品です。

《二十四孝狐火之図》月岡芳年

歌舞伎演目「本朝廿四孝」に登場する八重垣姫。

婚約者の武田勝頼(武田信玄の長男)の身の危険を察知した姫は、諏訪明神が武田信玄に送った秘蔵の兜に祈願します。

すると諏訪明神の使いの白狐は姫に乗り移り、姫は氷の張る諏訪湖を飛んで渡って勝頼の元へ行きます。

その後、2人は無事に結ばれました。めでたし!

《地獄太夫》月岡芳年

室町時代の実在した遊女・地獄太夫。

山賊に襲われましたが、あまりの美貌のために遊女屋に売られてしまいました。

「現世の不幸は前世の行いの結果」と自ら地獄太夫を名乗り、地蔵菩薩と閻魔大王の描かれた帯をするなど個性的なところもありましたが、才色兼備で風流を嗜み、また仏教の心得もあったそうです。

地獄太夫の元に訪れた一休が「聞きしより見て恐ろしき地獄かな」と詠むと、

「しにくる人のおちざるはなし」と返したと言います。

新形三十六怪撰に含まれてはいるものの、妖怪ではなさそうです。

才色兼備なところや変わった出立ち、生き様が浮世離れしているということでしょうか。

もふもふ!思わず触りたくなる化け猫・狐

《東海道五十三次之内 白須賀 猫塚》歌川国貞

もふもふ!

この絵の凄いところは、繊細に彫られたもふもふふわふわの毛です。

下絵の段階では髪など細かい線は書かれていないので、細部の彫りは彫師次第になります。

中でも1番難しいのは髪の毛の表現=毛割り(けわり)で、1mmの内に何本もの細い毛の線を彫る、0.1mm単位の作業になります。

そのため彫師の中でも最も熟練した者が毛割りを担当しましたが、この絵は細くて長い毛が大量に彫られているので、ただでさえ難しい毛割の中でも特に高い技術が求められました。

その甲斐あって、発売当初から世間の評判も上々でした。

担当した彫師は「彫巳の」こと小泉巳之吉で、絵の右側に名前も入っています。

浮世絵に彫師の名前が入るのは珍しいので、本当に凄いことです。

《金魚づくし 百ものがたり》歌川国芳

「百物語」は江戸時代に流行った、100本の蝋燭に火をつけ、怪談を1つ話すごとに1本ずつ消していき、100個目を消し終えるとお化けが出てくるという遊びです。

ここではお化けの代わりに猫が出てきて大混乱。金魚にとって猫は、お化けより怖いことは間違いないですね。

慌てる表情やポーズがかわいい作品です。

《名所江戸百景 王子装束ゑの木 大晦日の狐火》歌川広重

歌川広重の名作「名所江戸百景」の中の1枚です。

東京の王子稲荷神社には、毎年大晦日の晩に狐が集まると言われています。

冬の空に瞬く星や、星の光にぼんやりと照らされる木の様子が幻想的で美しい情景です。

《江戸名所道戯尽 十六 王子狐火》歌川広景

歌川広重の弟子、歌川広景の代表作「江戸名所道戯(どうげづくし)」の中の1枚です。

こちらも王子稲荷神社にちなんで、狐の行列を描いています。

かぼちゃやとうもろこしを担いで可愛らしい行列ですが、よく見ると人間が1人、籠で運ばれています。どうやら化かされてしまっているようですね。

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