スーパーで、路上で…認知症を持つ人からは世界がこう見える (2/2ページ)

新刊JP

■抽象概念をイメージできないことで起こる生活トラブル

スーパーでマヨネーズを探すことができず困ってしまいました。店内の棚は、調味料、香辛料、乳製品などに分類されているのですが、マヨネーズが調味料の1つであることがピンと来ず、その棚にあるとはどうしても思えなかったのです。

これも、認知症を持つ人から見える世界を言語化したもの。認知機能の障害によって、ものの分類を意味する言葉が持つイメージや概念が不確かになってくることがあるようだ。つまり、「マヨネーズ」は理解できるが、その上位概念である「調味料」のイメージが不確かになるために、調味料とマヨネーズがつながらなくなるのだ。

これは生活上のさまざまな困りごととなってあらわれる。
・「下着」とラベルがついた収納からパンツを出すことができない
・「友人」「家族」などとグループ分けされたアドレス張から連絡したい人を探せない
・アナログ時計が読めない
・ATMの操作がわからない
などが、抽象的言語や概念をイメージすることができなくなることで起こる問題だという。

認知症を扱う本は多々あるが、その多くは医療従事者や介護視点で書かれたもの。もちろんそういった本も貴重だが、認知症の当事者から見た世界を知ることには別の発見があるはず。

誰にとっても他人事ではない認知症。当事者がどんなことに困っていて、何を必要としているのか。認知症のある人約100人へのインタビューをもとに書かれた本書はそれを知るために大いに役立ってくれる。

(新刊JP編集部)

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