学生の中途退学は予測可能か? 大学教授が論じる「学生との向き合い方」 (1/2ページ)

新刊JP

『文庫改訂版 学生の「やる気」の見分け方 経済学者が教える教育論』(幻冬舎刊)
『文庫改訂版 学生の「やる気」の見分け方 経済学者が教える教育論』(幻冬舎刊)

スタートは皆しっかり講義に出席しているが、時間を追うごとにだんだんと空席が目立ちはじめ、途中脱落者が続出する……。大学の講義でよく見られる光景だ。

教育者としては、学生が意欲を持って授業や講義を受けているのか気になるところだろう。しかし、それを測ることはなかなか難しい。モチベーションが高いかどうかを直で聞くわけにはいかない。

では、どのようにすれば、意欲を測ることができるのか。
桃山学院大学経済学部教授の中村勝之氏が執筆した『文庫改訂版 学生の「やる気」の見分け方 経済学者が教える教育論』(幻冬舎刊)は、「学生・生徒の意欲等をどこで見るか」から始まり、中村氏が授業で使用している小レポート「レスポンスシート」を通した学生との向き合い方について論じた一冊である。

■学生が中途退学をしてしまう要因とは?

モチベーションを失った学生が行き着く先が「中途退学」だろう。

中村氏は、「どんなカリキュラムシステムやイベントなどの仕掛けを導入しても、そこから抜け落ちる学生は必ず存在する」(本書p.137より)と述べた上で、抜け落ちる可能性のある学生を早期発見し、必要な対策を講じることが重要だと指摘する。
そこで本書では、除籍や中途退学をしてしまう学生たちを「除退者」と呼び、除退予備軍をどのようにあぶりだすのかを論じている。

せっかく大学に入学しても、さまざまな理由から除退する学生が必ず存在する。中村氏は日本中退予防研究所の調査結果を参考にする。

●初期型
入学早々に顕在化するのがこの初期型だ。偏差値の低い高校出身者だったり、高校在学中の評定平均が低い「典型的初期(落ちこぼれ)型」や、安易に進路先を決めた「学科ミスマッチ型」が典型的な例となる。

また、大学に通い始めてから生活リズムを崩してしまう「生活リズム不安定型」、人間関係の構築につまずき、そのままフェードアウトする「人間関係苦手型」、さらには学習する上でのハンデを持った学生が除退を余儀なくされる「福祉対応必要型」も初期型に分類される。

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