過去からの復讐がテーマとなった日本の民話やグリム童話と東京五輪 (3/5ページ)
夜遅くまで飲んだ後、2人は家を出て、王様のもとに向かった。そして、小川にかかった橋の前に来た。兄は弟を先に渡らせた。そして背後から弟を殴った。弟はそのはずみで橋から転がり落ちてしまった。弟が死んだことを確認し、兄は弟を橋の下に埋めた。
その後、兄はイノシシをかついで王様の前に出た。喜んだ王様は約束通り、兄に姫を娶らせた。兄弟を知る人々は、弟はイノシシに殺されたのだろうと思い、特に気にすることはなかった。
数年後、ひとりの羊飼が羊の群れを追ううちに、弟が亡くなった橋の前にたどり着いた。橋から川を眺めると、砂にうもれた、雪のように白い骨に気がついた。角笛のいい吹き口が見つかった!と喜んで骨を拾い、削って角笛につけてみた。吹いてみたところ、吹き口が突然歌い出したのだ。
もうし、もうし羊飼
おまえはおれの骨を吹く
兄貴はおれを打ち殺し
橋の下へとうめといた
王の姫御を貰うため
荒れイノシシが欲しくなり
羊飼は不審に思い、角笛を王様に届けようと決めた。王様の前でも角笛は、同じように歌った。そこで王様は部下に命じ、橋の下を探索した。すると弟の骨が残らず現れた。怒った王様は兄を捕らえ、袋の中に閉じ込めて、生きたまま水に沈めた。一方の弟は王様によって、立派なお墓に手厚く葬られた。
今日、髑髏モチーフのシルバーアクセサリーやTシャツなどが、若者世代を中心に世界中で流行っている。しかし実際に、剣村のカツやグリム昔話の羊飼のように、人間の髑髏や骨といった「実物」を目にし、それを持ち歩いたり加工したりするなど、到底ありえないことである。だからこそ「ファッション」のモチーフになっているのかもしれない。逆に、昔であれば、多くの人々が髑髏や骨を、日常生活のどこかでかなり頻繁に目にし、触る機会があったということなのだろう。
■過去からの復讐は現代でも起こっている
今となってはすっかり忘却の彼方となってしまった、今年の7月23日から8月8日までの東京オリンピック、そして8月24日から9月5日までの東京パラリンピック開催直前に、思わぬトラブルが発生した。