パッと見こそ地味だけど…海苔と蕎麦の絶妙な香りを楽しむなら「花巻蕎麦」がおすすめ! (2/4ページ)
蕎麦がお決まりの十六文に対して1.5倍の二十四文、海苔が乗っただけで随分な値上げですが、それだけ浅草海苔が高級だったことが分かります。
で、これのどの辺が花巻なのかと言えば、磯の花と呼ばれた海苔をよく揉んで散らした様子が、花弁のようだったから「花をまいた⇒花巻」となったようです。
しかしネーミングとは裏腹に、見た目は実に地味ながら侮るなかれ。そこはただ「原価が高いから、値上げも我慢しろ」だけでなく、味も満足できるプロならではの秘伝があると言います。
蕎麦屋では、海苔をただポンと乗せて「ヘイお待ち」ではなく、丼とピッタリサイズの「かけ蓋」を用意して、蕎麦の上に揉み海苔を散らしたら、このかけ蓋を乗せて2~3秒ばかり蒸らした上でお客に提供。
すると海苔はまだ湿り切らず、かつ海苔の香りが汁に移って、実に馥郁たる味わいを楽しめるのです。
これを少し楽しんでから、お好みでチョンと山葵(わさび)を添えると、また爽やかに味変も可能。彩り程度に三つ葉などを添えるお店もありますが、基本的に葱(ネギ)など独特の香りで海苔の風味を殺してしまう薬味はつけません。
あゝ、もうおしまいですよ……「汁物では『天ぷらそば』。千人好きのものだがあまりいいもんじゃありません。どっちかといえば素人だましの代物、通人は“花巻”。いいそばで、いいしたぢで、それにいいのりをぱらりっとかける。香気もいいし味もいい。これはこののりが千金の値打なのに“なぜ薬味をつけねェ”と文句をいふ人がある。