素っ裸でも足袋だけは…江戸幕末の甲州博徒・竹居安五郎が説いた渡世人の心得を紹介 (3/3ページ)

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また実生活の面でも、銭を貯め込んでしまうと懐が重くて動きが鈍くなってしまったり、ジャラジャラと音がして所在がバレてしまったり、また悪さを企む元手にしたりなど、とかく小人物にカネを持たせるとロクな事にならないのを、肌で知っていたのでしょう。

一、風呂から出たらすぐ足袋を履け!

一日の疲れを癒やすお風呂……まさに至福のひとときですよね。

「あぁ、いい湯だった」

湯上りは心身ともにリラックスして、なるべくゆったりした服装で過ごしたいものですが、安五郎一家では「すぐに足袋を履け」と指導されます。

足袋は足首を鞐(こはぜ。小鉤)で留め、固定してしまうので、なるべくなら履きたくないものですが……その理由は

「素っ裸でも斬り合いは出来るが、素足で斬り合いは難しい」

というもの。確かに、いつもしっかりした床があるとは限りませんし、足袋を履いているといないでは、足元の踏ん張りが断然違います。

褌一丁で戦う男たち

そして斬り合いの精度や威力は足元の安定感が大きく左右するものですから、カタギならばいざ知らず、斬った張ったを生業とする渡世人ならば、たとえ素っ裸であっても、足袋だけはキチンと履いておきたいものですね。

終わりに

鼾をかいて敵に見つかるな、銭を貯めて命を惜しむな、たとえ裸でも足元だけは固めておけ……。

まさに常在戦場(じょうざいせんじょう。常に戦場に在り)、厳しい渡世を生き抜いてきた安五郎ならではの心得と言えます。

別に命のやりとりをすることもない現代の私たちですが、無用の隙を見せぬこと、中途半端な未練は残さぬこと、そして常にチャンスを逃さぬ用意をしておくことなど、その精神は大いに応用できるのではないでしょうか。

※参考文献:

子母澤寛『遊侠奇談』ちくま文庫、2012年1月 髙橋敏『博徒の幕末維新』ちくま新書、2004年2月

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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