男心をまんまと手玉に…平安文学『伊勢物語』が描く、やんごとなき男女の恋愛ゲーム (2/4ページ)
朝顔が夕方までにしおれてしまうように、きっとあなたも、今夜私が訪れるまでに心変わりしてしまっていることでしょう。
要するに「浮気するなよ!」と言いたいのですが、これに女性は返歌を詠んで贈ります。
二人して むすびし紐を ひとりして あひ見るまでは 解かじとぞ思ふ
【意訳】あなたと二人で結んだこの下着の紐を、一人でほどくようなことはしませんよ……。
パッと見ると「おっ!」と期待してしまいそうな歌ですが、よく見ると「あひ見るまでは」の主語が、必ずしもその男性とは限りません。
「私が『一人で下紐をほどく』なんて、そんな状況があるはずないでしょう?」
言い換えれば「別にあなたじゃなくても、一緒に下紐をほどいたり結んだりする相手なんて、他にいくらでもいるんですよ?」というメッセージにも解釈できます。