いびつな家庭環境から生まれた一作の小説。作家が伝えようとしたこととは? (3/3ページ)

新刊JP

このコロナ禍によって、たくさんの人が職を失ったり、収入が減ったりしてしまいました。その影響は国民全体に及んでいます。

でも、被害を一番被っているのは、子どもや高齢者といった弱者だと思うんです。私自身、子どもと高齢者が家で当たり散らされているという話を耳にすることがあって、人々のイライラが弱者に向けられているように感じるんです。

また、もう一つモチーフをあげるとすると、「子ども食堂」です。ドキュメンタリー番組をよく見るのですが、「子ども食堂」のような支援に辿り着ける子どもはまだいいほうだと思っていて、どこに助けを求めたらいいのか分からない子どもがたくさんいると感じるんです。

親からネグレクトされて、助けを求めている子どもたちはたくさんいる。そうした崩壊してしまった親子関係はいたるところに転がっているということを強く感じるんです。

――親子関係が崩れると、必然的に親が強者の側に立ち、子どもは弱者になりますからね。曜も弱者としての人生を歩んでいきます。

松谷:そうです。でも、これは彼がかわいそうだという話として書いたわけではないんですよ。いつ誰でも、彼のようなことが起こりうると伝えたくて書いたんです。

(後編に続く)

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