母親ががんに罹り晴れ晴れとした顔で現れた娘…毒親に育てられた子どもたち (2/4ページ)
――子どもから「うちの親はちょっとおかしい」と思われている親は、おそらく自分ではそこまでおかしい自覚はないような気がします。まして自分が「毒親」だとは考えていないのではないでしょうか。
袰岩: そうですね。本の中で紹介したように、親の方は自分に問題があるというよりも「娘を何とかしてほしい」ということでカウンセリングにいらっしゃることがほとんどです。
――本書では毒親とその娘についてのさまざまな事例が取り上げられています。中でも印象的だったのが、自分の母親ががんに冒されていることがわかったことで、カウンセリングに「晴れ晴れとした顔」であらわれた女性の事例です。
袰岩:この女性は物心がついたころからずっと母親に苦しめられていました。それだけ母親が重石だったわけです。
――母親が大病を患ったことで病院に呼ばれたりですとか、本来なら関わりたくない母親と関わらなければならなかったり、母親が関連の用事が増えてしまったりするわけじゃないですか。それでも晴れ晴れとした顔になるのは「これで母親が死ぬかもしれない」という心理なのでしょうか。
袰岩:そういった具体的なものというよりは、「今の自分の苦しみには終わりがあるんだ」という、母親に苦しめられる人生の「終わり」が見えたことによる高揚感の表情だったのではないかと思います。ただ、「それって結局は親の死を望んでいるということかもしれない」ということで、その人は罪悪感も覚えるのですが。
――ただ、普通に考えれば親は自分より早く死ぬわけで、母親が病気にならなくても「今の苦しみには終わりがある」ということはわかるはずです。がんが発覚するまでそこに思い至らないということがありえるのでしょうか。
袰岩:物心ついたころからずっと母親に苦しめられて生きてきたわけですから、「いつかは親も死ぬ」ということすら考えられなかったのだと思います。がんという病名を聞いてはじめて、そうか、親も死ぬのか、と気づいたわけです。