僕たちが身代わりに…奈良時代、父の釈放を求めて天皇陛下に直訴した子供たち (3/4ページ)
官奴とは役所に召し使われる奴隷のことで、祖父麻呂は「自分たちが奴隷となるので、父の罪を肩代わりさせて下さい」と申し出たのでした。
理、矜愍に在り……天皇陛下のお裁きは?心ならずも罪を犯してまで養ってくれた父に、少しでも恩返しがしたい……その直訴は元正天皇(げんしょうてんのう。第44代)に届けられ、このように詔(みことのり。御言宣=命令)されます。
人の五常を稟くるに仁義斯れ重く、士の百行有るに孝敬を先とす。今、祖父麻呂ら、身を没めて奴と為り、父が犯せる罪を贖ひて骨肉を在らしめむと欲。理、矜愍に在り。請ふ所に依りて官奴として、即ち父石勝が罪を免すべし。但し、犬麻呂は刑部の断に依りて配処に発す
※『続日本紀』養老4年6月28日条
【意訳】人間にとって最も大切な五つの精神(仁・義・礼・智・信)のうち、仁愛と義理はとくに大切である。また、人間の様々な行為の中で、親孝行はすべてに優先する。いま祖父麻呂たちが奴隷となることで父の罪を身代わりしようとしており、実にけなげである。願いを聞き入れてこの子らを官奴とする代わり、石勝を釈放せよ。ただし、犬麻呂については判決どおり流罪とせよ。