”くせもの”は頼もしき者?武士道バイブル『葉隠』が伝える忠義の距離感とは (1/2ページ)
「むっ、曲者(くせもの)!」
時代劇で、屋敷に侵入した不審者を咎めるこのセリフ。他にも、一癖ある人物について警戒を促す時など、とかく曲者という言葉にはよいイメージがないようです。
しかし毒にも薬にもならないような人物というのは、ここ一番で頼りないもので、逆に一癖あるくらいの方が、与(くみ)するに心強いというもの。
そんな心情はいつの時代も変わらないようで、今回は江戸時代の武士道バイブルとして知られる『葉隠(はがくれ。葉隠聞書)』より、曲者に関する教訓を紹介。
武士たちが語る曲者とは、現代の私たちがイメージするそれと少し違っていたようです。
神右衛門申し候は……一三三 神右衛門申し候は、「曲者は頼もしき者、頼もしき者は曲者なり。年来ためし覚えあり。頼もしきと云ふは、首尾よき時は入らず、人の落ち目になり、難儀する時節、くゞり入りて頼もしするが頼母しなり。左様の人は必定曲者なり。」と。
※『葉隠』第一巻より
【意訳】曲者とは頼もしいもので、頼もしい者にはたいてい一癖あるものである。そういう事例をこれまで多く見てきた。