カネが欲しいのか、命が欲しいのか?江戸時代、強盗を改心させた七里禅師のエピソード (3/3ページ)
「人からモノを貰っておいて、その態度は何じゃ。お礼くらい言いなさい!」
まさかこの歳になって他人から叱られるなんて思ってもみなかった強盗は、意外と素直に謝ります。
「はい、すいません。えーと、ありがとう」
「ございます、は?」
「はい、ございます」
「よろしい。気をつけて帰るんじゃぞ。お子さんにもよろしくな」
「へい」
こうして強盗はカネを貰い、世闇の中へと逃げて行ったのでした。
エピローグ……その数日後、強盗が捕まったということで、役人に引っ立てられながら寺へ戻ってきました。
「この者がこちらで強盗を働いたでしょう」
役人が強盗から没収したカネを見せると、七里禅師は首を振って答えます。
「いいや、このカネはわしがこの男にやったもので、この男もきちんとお礼を言いましたぞ。強盗などしておりませぬ」
これを聞いた強盗は自分にここまで情けをかけてくれた七里禅師に心から罪を詫び、釈放された後に弟子入りしたのでした。
どんな悪人だって、生まれた瞬間から悪人だった者は一人もおらず、皆どこかで信頼と愛情に飢えているもの。
なかなかこうまでは行かなくても(実際それどころじゃないでしょうし)、みんなが少しずつ優しく真心で接すれば、この荒んだ世の中も少しずつよくなっていくかも知れませんね。
※参考文献:
野末陳平 監修『マンガ 禅の思想』講談社+α文庫、1999年4月日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan