デス・スターのような土星の衛星「ミマス」に海がある可能性、生命の存在にも期待

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デス・スターのような土星の衛星「ミマス」に海がある可能性、生命の存在にも期待
デス・スターのような土星の衛星「ミマス」に海がある可能性、生命の存在にも期待

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 土星の第一衛星「ミマス」は、これまで天文学者の目を欺いてきたのかもしれない。

 直径の3分の1にも及ぶクレーターがあり、まるで映画『スター・ウォーズシリーズ』に登場する人工天体「デス・スター」のような姿が特徴的だが、それ以外は特に興味を引くこともないただの氷の塊に見える。

 だが『via=ihub" target="_blank" title="" rel="noopener"Icarus』(2022年1月4日付)に掲載された研究では、意外にもその内側に海をたたえている可能性を明らかにしている。


 太陽から遠く離れた凍てついた宇宙で、なぜ海が存在できるのか? それはある原理によって発生する熱のおかげであるようだ。

・氷の塊に何で海が?
 ミマスは一見したところただの氷の塊で、海の気配など微塵も感じさせない。

 土星の「エンケラドゥス」や木星の「エウロパ」のような衛星の場合、表面のひびから噴出される噴煙によって、内部に海があるであろうことが推測できる。

 だがミマスはそれと対照的だ。

 「エンケラドゥスやエウロパを見れば、これらを動かすエンジンの存在をはっきりと感じられます」と米サウスウェスト研究所の惑星科学者アリッサ・ローデン氏は語り、「ミマスはそれと正反対で、海があるようには思えません」と付け加える。

 ところが、そうではないかもしれないのだ。

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photo by Pixabay

・土星の重力が衛星を変形させ摩擦熱が発生「潮汐加熱」
 ミマスに海が隠されていると考えられるのは、その軌道の中心がズレているからだ。そのために土星に近づいたり、離れたりする。すると土星の重力によって伸び縮みして、膨大な熱が発生する。

 こうしたプロセスを「潮汐加熱(ちょうせきかねつ)」というが、その熱によって内部の氷が解けて水になっている可能性がある。

 これまでの観測では、ミマスの軌道には小さな揺らぎがあることも確認されている。この揺らぎは、内部に隠された海が原因であるとも考えられる。

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・氷の約30キロ下に海がある可能性
 もし本当にミマスに海があるのだとすれば、潮汐加熱は熱すぎても、冷たすぎてもいけない。熱すぎれば、表面の氷が解けているはずだし、冷たすぎればそもそも海はできない。

 そこでローデン氏らは、シミュレーションによって潮汐加熱がミマスに与える影響を計算してみた。すると意外なことに、氷の約22~32キロの下に海があるだろうことが判明したのだ。

 ミマスに海があると確定したわけではないが、有力な証拠の1つではあるという。

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image credit:NASA / JPL / Space Science Institute

・生命が存在する可能性も
 地球外生命が見つかりそうな場所というと、恒星から適切な距離にある惑星を思い浮かべるだろう。だが、恒星から遠く離れたところでも生命は存在できるかもしれない。

 たとえば、氷の下に海が存在するエウロパは、生命が発見される可能性が太陽系内でもっとも高いと期待されている。

 エウロパに生命が存在する可能性について、NASAは次のように説明する。
潮汐加熱の力が、内部の岩石・氷殻・海との間で水や栄養を循環させ、生命誕生へいたる化学物質が豊富な水環境を作り出している可能性がある
 ならば潮汐加熱によって作り出されたミマスの海にも、生命は存在するかもしれない。

 「居住可能性は太陽系の一領域だけに限られません。生命が誕生する道筋はいくつもあります」とローデン氏は語っている。

References:SwRI scientist uncovers evidence for an internal ocean in small Saturn moon | Southwest Research Institute / written by hiroching / edited by parumo


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