失われた大陸「バルカナトリア」を発見。約4000万年前に存在し、ヨーロッパの動物相に変化をもたらした (3/5ページ)
「始新世のユーラシア大陸における哺乳類の分布は、これまで認識されていなかった生物地理学地域(ここではバルカナトリアと呼ぶ)の存在を裏付けている」
「バルカナトリアには、始新世に一時的に浮き沈みしたという複雑な歴史があり、"不連続な群島”や"広く連続した島"などと表現されてきた。――それゆえにアジアの哺乳類は、バルカナトリアを経由する”南ルート”にそって、ヨーロッパ南東部に散らばって行ったのだと説明されてきた」
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トルコで発掘された遺跡 / image credit:Alexis Licht & Gregoire Metais・アジアの哺乳類は本当にバルカナトリアを渡ったのか?
しかし、アジアの哺乳類がバルカナトリアを渡ったという仮説は、現在も議論されるところだ。
バルカナトリアの東西両端から採取された化石によれば、3400万年前のグランド・クーピュアまで、他の地域とはまるで違う哺乳類が存在したと考えられるからだ。
どうも孤立していたらしい生態系は、アジアの哺乳類は別のヨーロッパ進出ルートを通過しただろうことを示唆している。さもなければ、彼らがバルカナトリアを渡った証拠がもっと発見されているはずだからだ。
こうした疑問に反論するため、リヒト氏らは、トルコで発見された3500万~3800万年前の化石を提示している。
それはアジア原産の「ウマ目(奇蹄目)」のもので、グランド・クーピュアが起きる以前、そうした動物がバルカナトリアを経由してアジアからヨーロッパへと移住してきたことを証明している。
また既存の研究を再検討した結果、バルカナトリアの固有種である「後獣下綱」(有袋類の仲間)や、カバのような「重脚目」が特定されている。
このような特有の動物がいた事実から、そこが長い間周囲の大陸から孤立していただろうことがうかがえる。