川上未映子が語る「自作が見向きもされなくなることの正当性」 (4/4ページ)
川上:最近は忙しくて文芸誌を読んでないから、じつはコロナにかんするフィクションっていっさい読んでないんですよね。コラムは海外のものを含めていくつか読みましたし、わたしも書かせてもらったんですが、それは必要な過程だったのだと思います。過ぎたことはみんな忘れていくので、ある時点での声を集めるというのは大事なことなのかもしれません。
――最後に川上さんの本の読者の方々にメッセージをお願いいたします。
川上:世界は「こわいもの」に満ちていますけど、なぜそれがこわいのかを考えることは悪いことではないと思います。オブセッションのお話をしましたけど、自分がとりつかれているこわいものがたくさんあって「なんでこんなに苦しいんだろう」って思って生きている人がいるとしたら、それは特殊なことではないし、生きるっていうのはそういうものだと思いますよ。だからあんまり心配しすぎないように……って言っても、説得力がないかなあ(笑)。でも、こわいもののあいだに、それを忘れるような一瞬があったりとか、ふいに胸がいっぱいになるような瞬間があるのもたしかです。人生は、両方ですよね。なんとかやっていきましょう。
(新刊JP編集部)