なぜ人間のクローンを作らないのか?科学者が語る本当の理由 (3/4ページ)
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・人間のクローンを作成するメリットはあまりない
仮に倫理的な問題がすべてクリアされたとして、はたして人間のクローンを作ることに何かメリットはあるのだろうか?
グリーリー教授は、倫理的には許されないことと強調しながらも、遺伝的に同一な人間を作り研究できることだと説明する。
ただしこうした潜在的なメリットは、他の科学分野が発展したことであまり意味のないものになっているという。
例えば、2000年代初頭には、ヒトクローン胚から本人の細胞とまったく同じ胚性幹細胞を作ってはどうかと提唱されたことがある。
しかし2006年に人工多能性幹細胞(iPS細胞)が発見されたことで、このアイデアは無意味なものになった。
京都大学の山中伸弥教授は、たった4つの遺伝的要素を使って大人のマウスの細胞を胚のような状態に戻す方法を発見。
さらにその翌年、同じことをヒト細胞でも実現し、山中教授は、この功績が評価され2012年にノーベル賞を受賞している。
胚と同じような性質を持つiPS細胞は、人間の体内のどんな細胞にもなることができる。だから、クローン技術でわざわざ本人の胚を作らなくても、皮膚細胞で同じことができる。
こうして、人間のクローンを作成してその胚を利用するアイデアは、不必要で科学的にも劣ったものになった。
今日、病気のモデリング、創薬、再生医療などの研究に利用されているのは、クローン胚ではなく、iPS細胞である。