無宗教と答える人が少なくない日本人だが実はそんなことは全く無い

心に残る家族葬

無宗教と答える人が少なくない日本人だが実はそんなことは全く無い

日本人に「あなたの宗教は何ですか」という質問をしたら、ほとんどの人が「無宗教です」と答えるだろう。確かに、日本人は特定の宗教の「信仰」というものを持たない人が多い。しかし「無宗教」と言いつつ、非常に宗教的行事が好きで、普通に生活に取り入れている不思議な国民であるといえる。

■日本、宗教行事多すぎ問題

「無宗教」と言いながら、新年は神社または寺に初詣に行き、クリスマスはキリストの生誕というキリスト教の大事な日をお祝いし(最近の若者にはクリスマスがキリストの生誕の日であることを知らない人もいるそうだが)、一年の終わりには除夜の鐘を鳴らす(仏教)。結婚式は教会やチャペルでキリスト教式の式を挙げ、子供が産まれると神社にお参りに行き、人が亡くなるとほとんどの日本人は仏式の葬式をする。最近人気のハロウィンも元は古代ケルトの信仰である(これは殆どの日本人は知らないだろうが、敬虔なキリスト教信者にとっては異教徒の祭りなのでいろいろと意見もある)。神社に行けば二礼二拍手一礼という手順も守るし、寺では手を合わせる。教会に行って「主の祈り」を唱えたり「アーメン」と言って十字を切ったりする人は少ないかもしれないが・・・。

■日本人、死生観も宗教的

そもそも「死んだら天国(極楽)に行きたい。地獄に行くのはいやだ」と思うこと自体が宗教的であるし、墓の前で手を合わせるのも宗教的である。悪いことをするとバチが当たる(罰ではない)という考えも宗教的である。バチは誰が与えるのかといえば、神や仏であるからだ。

「七福神」も仏教、神道、ヒンドゥー教、道教、といろいろな宗教の仏様、神様たちである。それをまとめて廻ってお参りする。なんとも不思議なことである。

■なぜこうなった

日本は八百万の神という考え方があり、どこにでも神様がいるという原始宗教のようなものが根底にある。多神教である、とも言われる。

多神教に対するのは一神教である。一神教の神は唯一絶対であり、そのものを信仰することしか基本的には許されない(例外もあるが)。しかし多神教はもともと神様がたくさんいるので、どの神様も大事で、またいろいろな役割も持っているため、たった一つのことだけが正解、ということはない。

日本は豊かな国である。海もあり、山もあり、季節ごとに食物も採れ、飲み水に困ることもなく、自然豊かな島であったので、すべてのものに感謝し、生活してこられた。なので、唯一絶対神などは存在する必要がなかったのだ。

「神道」は日本の古い宗教といえるかもしれないが、教義のようなものがない(一部の派をのぞく)。日本人は特定の宗教を持っていないかもしれないが、宗教的なことは生活に取り入れており、またそれが日本人の倫理観や真面目さにつながっていると考えられる。

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