「初めての書き方をした」 万城目ワールド全開『あの子とQ』はどのように生まれたのか (2/4ページ)
ならば本人を吸血鬼したらどうかと考えました。その特異な視点から相対的に同世代の女の子を見たり、人間社会との付き合い方、人間の中でどう生きていくかということは書けるだろうと。
ところが、いろいろありまして、そのプロジェクト自体が頓挫してしまったんですね。
――そのアイデアも必然的にボツになってしまったと。
万城目:でも、その時に以前から「このアイデアどう思う?」と相談していた編集者から、ボツになったのならば『週刊新潮』で小説として連載しませんか?とお誘いを受けて、このアイデアが復活したんです。
だから、このアイデア自体は自分で最後まで面倒を見るというよりは、ある意味無責任に、いろいろ自由に考えた中でポンと浮かんだものなんですよね。
――そういった小説の書き方は万城目さんにとっては珍しいのでしょうか?
万城目:これまでの作品は1から10まで自分で考えて、主導権も全部自分でした。でも、この『あの子とQ』については、かなりの部分で他人から出されたお題でできています。だから、自分で考えたのは10のうちの5くらいですね。書く苦しみは変わらないですけど(笑)、物語の種が生まれるところに他人が関わっているというのは初めてです。
――これまでの物語の成り立ちと全然違いますね。
万城目:それに小説を書くのも、『「週刊新潮」のこの号から枠を取っているので逃げられませんよ』という感じでのスタートだったので、全部初めての経験ですね。でも、いざ書き上げてみると面白い作品が書けたと思いますし、自分の中で新しい発見があって良かったです。
でも、こういう小説の書き方は今回限りで、また自分で10考えて10書くという元の方法に戻るんですけどね。
――『あの子とQ』の物語についてお話を聞きます。この物語には2つの大きな謎がありますよね。一つは最初からいる「Q」という存在の正体、もう一つが折り返し地点で起こる「事件」の真相です。