「初めての書き方をした」 万城目ワールド全開『あの子とQ』はどのように生まれたのか (3/4ページ)

新刊JP

後半はこの2つの謎の真実に並行して近づいていきます。この物語の骨子はどのように考えていったのでしょうか。

万城目:まずはQですね。黒いトゲトゲしたばけもので触れることができないというところから、弓子によってQの正体が明らかになるという結末は最初に浮かんだので、その間をどのように埋めていくかという作業でした。

弓子とQの関係としては、弓子からすると仲良くしたくないありがた迷惑な存在から、その関係が少しずつ近づいていくという変化を入れたかったので、それならばQが弓子の監視役がいいだろうと思いました。

――弓子が17歳の誕生日に「脱・吸血鬼化」の儀式を迎えるまで、弓子が人間の血を吸わないか監視をする役目ですね。

万城目:その儀式まであと1日になったところで大きな事故が起きて、弓子はQの制止を振り切って友達の好きな人の命を救うために吸ってはいけない血を吸ってしまうわけですよね。

――ただ、弓子が目覚めると、血を吸ったはずなのにその痕跡がない。そこにミステリーが発生するという流れです。一方の弓子については、先ほどおっしゃっていたQに対する刺々しい反応が少しずつ変化していきます。

万城目:Qへの意識の流れですよね。弓子はQにどんどん同情的になっていくのですが、それと同じスピードで読者のQに対する意識も変わっていかないと物語がずれていくので、そこは冷や冷やしながら書きました。

実はQって登場するシーンが短いんです。事故後はいなくなりますから、前半部分だけである程度の変化を見せないといけない。そこを描くのは難しかったですね。

――後半はQに代わって佐久という吸血鬼が出てきます。

万城目:佐久の登場で、それまで弓子の目に見えていたものが実は違う意味を持っていたことが分かります。ただ、その大きな変化のきっかけになる部分を彼が導かないといけないですから、佐久の登場シーンがすごく増えたんですよ。

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