作家・万城目学が語る「小説執筆のためのルーティーン」とは (3/4ページ)

――万城目さんには物語をつくるときのルーティーンみたいなものはあるのですか?
万城目:設定というか、この枠の外には出ないということはしっかり決めます。
『あの子とQ』でいうと、物語の大きな構成自体は30分くらいで考えて、そこから2、3ヶ月かけて吸血鬼の映画と本を調べました。吸血鬼のことは全然知らなかったので、太陽やニンニクが苦手という古典的なルールを調べ、その中から今の弓子を縛るものと、弓子が解放されたものを箇条書きで分けていって、その縛られない部分が脱・吸血鬼化の儀式で失われるということを最初に明文化したんです。連載時もこういうルールのもとに吸血鬼の世界はありますと最初に書いています。そうするとブレないので。
そういうことを最初にしっかりやっておけば後々整合性が取れなくなるというようなことがなくなるので楽なんですよね。
ただ、この書き方は物語を縛って面白くなくなると考える人もいます、書いているうちに思わぬ方向に膨らんでいって、想像し得なかったゴールに連れて行ってくれるものだという人もいるとは思うのですが、それで成功した経験が僕には一度もないんですよね。一度でも成功経験があればその書き方を肯定すると思うのですが、怖くて一度もトライしたことがないんです。
――前半で基本的に物語は1から10まで全部自分で生み出しているとおっしゃっていましたが、そのアイデアの種はどのように見つけるのですか?
万城目:まず大きなところから考えるのが基本ですね。例えば京都を舞台に書きました、奈良を舞台に書きました、ならば次は大阪とか。もちろん土地以外のものもありますが、大きく言えばトップからボトムを考えていくことが多いです。