作家・万城目学が語る「小説執筆のためのルーティーン」とは (4/4ページ)
また、物語には横軸と縦軸があって、横軸の広がりと縦軸の広がりの両方を足して基準以上になったときに、自分の中にOKサインが出るような感じです。『あの子とQ』は横軸の広がりがメインで、多少佐久の話の中に歴史が出てくるので縦軸がありますけど、ほぼ水平展開なので自分としては珍しい作品です。
――どのくらい先までアイデアは持っているのですか?
万城目:今書いている作品、次に書くもの、その次に書くもの、さらにその次に書くものくらいまで考えていますが、これも難しいところがあります。たとえば次の次の次を書き終えるのは、おそらく5年後くらいなんですよ。だからインタビューで「この作品のアイデアを思い付いたきっかけは?」と聴かれても、もう忘れているということが発生したりするんです(笑)。
でも、基本的には資料を読んで「この話、面白いな」というところからスタートしたりしますね。何か引っかかるものがあって、そこから膨らむというか。
――ネタ帳はあるのですか?
万城目:最近、スマホに変えたので、スマホのメモ帳に書くようにしているんですけど、自分で何が書いてあるのか分からなかったりします(笑)。書いたときは「これで一本できた!」と思って骨子を書いているんですけど、後で読み返してみると「何の話だっけ?」ということが多くて。でもその中で生き残ったアイデアがSクラスです。それが徐々に強度を上げていって、一冊の本になるわけですね。
――では、今後の刊行予定を教えてください。
万城目:9月1日にエッセイ集『べらぼうくん』の文庫が出ました。また、今は『オール讀物』という雑誌で『鴨川ホルモー』以来の現代の京都を舞台にした小説を書いています。
――ありがとうございます。最後に、この『あの子とQ』をどんな人に読んでほしいですか?
万城目:表紙が明るくてインパクトがあるので、まずは表紙を見てピンと来た方に読んでほしいですね。それに、娯楽小説なので明るい気分になりたい方にも手に取ってほしいと思います。
(了)