放送作家・藤井青銅が語る【人間力】「一芸を究めないという意識で、さまざまなことをインプットする」 (1/2ページ)
ラジオドラマの脚本、ラジオ・テレビ番組の構成、小説やエッセイ、作詞など……。これまで放送作家を名乗りながら、いろいろなことに携わってきました。その始まりは、会社勤めをしていた23歳のときに、第1回「星新一ショートショートコンテスト」で入賞したことでした。
入賞賞品は11日間のヨーロッパ旅行。“ショートショートの神様”と呼ばれた星さんと一緒に旅することができるという豪華なものでしたが、参加した受賞者10名の中に放送作家がいたんです。その人から、ラジオのショートドラマを書く仕事を紹介され、放送業界に足を踏み入れるようになりました。
24歳で会社を辞めてフリーラン スになったんですが、その頃、雑誌でショートショートを書く機会が増えていきました。しかも「星さんみたいな物語を書いて」と言われ、慌てて勉強しました(笑)。というのも、僕は文学青年ではなく、たまたま雑誌の記事を見てコンテストに応募し、入賞しただけだったんです。
でも、星さんの本を読めば読むほど、その才能のものすごさが分かってしまうんですよ。ショートショートをそこそこ書けるようになったとしても、星さんのように究めることは絶対にできるわけがない。
ただ、そこで「自分の能力なんてたいしたことない」と思い知らされたからこそ、「一芸を究めない」という意識を持てるようになったんです。
一芸を究められないのならば、人様よりちょっとできることをたくさんやって、続けていけばいいんじゃないかと。だから、ラジオドラマやショートショート以外にも、本の出版やラジオ・テレビ番組の構成、作詞など、いろいろと手掛けることができました。
■いろいろなことに携わるからこそ、多くのことをインプットできる
そうした中、ここまで生きてこられたのは、僕ならではの笑いやユーモアを面白がってくれる人がいてくれたからなんですよね。
たとえば、長年の経験上、どこの制作の部署でも、部員が10人いたとして、「藤井さんの企画、いいね」と言ってくれるのはせいぜい2人。そうした人たちをたどって仕事をしていくことが、私の一芸を究めない仕事術といえるかもしれません。