“終活”中の中尾彬が語る「60歳くらいまでは、気に入らないこともいっぱいやったほうがいい。そうすると、だんだん不純物が沈殿して澄んでくる」人間力インタビュー (2/2ページ)

日刊大衆

私は作るのも食べるのも好きだけど、いろいろ食べてきて思うのは、おいしいというのは、素材そのものの味わいだね。

 料理っていうのは、材料を理解する、って書く。それさえ分かっていれば、おいしいものはできるんだよ。

 よく「やってみたら意外とおいしかった」っていうけど、やってみないのが一番だね。「トマトに溶けるチーズをかけて焼いたら意外とおいしかった」なんて、意味が分からな
い。トマトは旬の時期にそのまま食うのが一番うまいに決まってるじゃないか!

 なんだか、世の中がどんどんおかしな方向にいっている気がするね。

 多くの若者が勉強してないように思えるんだけど、それにも驚くよ。俳優という仕事をしていながら、昭和の名作映画を観もしない人がいるというのには理解に苦しむ。何にも知らないくせに、スマートフォンとやらでチャッチャと調べて、知ったような気になってる。

 だいたい、スマートフォンなんて偉そうにいうけど、しょせん、電話なんだよ? なのに、親しい人の電話番号すら記憶していない。スマートフォンを紛失したらどうするつもりなんだろう。私はガラケーで、パソコンのインターネットもやらないけど、何の不便もない。

 今年80歳になり、世の中に気に入らないことはあれこれあるけれど、この先、好きなものを食べて、好きな仕事をしていきたいね。

 しかし、成長過程……そうだな、60歳くらいまでは、気に入らないことも、いっぱいやったほうがいい。恥をかいたり、泣き言を言ったり、たまには悪いこともしたほうがいい(笑)。そうすると、だんだん不純物が沈殿して澄んでくるから。

 私はもう上澄みの部分で、好きなことをやり、溶けるチーズなんてかけないで旬の食材を食い、うまい酒を飲んでいこうと思ってるよ

中尾彬(なかお あきら)
1942年8月11日生まれ。千葉県出身。61年に武蔵野美術大学油絵学科に入学。日活第5期ニューフェイスに合格し、64年に映画『月曜日のユカ』でデビュー。数多くの映画、テレビドラマに出演しながら、83年にフランスの絵画展「ル・サロン」でグランプリを受賞。近年はバラエティ番組にも活躍の場を広げている。

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